「OVER BLOOD 〜ロードキラー〜」


第一話 恐怖の始まり


 退屈な日々が続く。朝早く起きて、学校に行き、たいして面白くない授業を受け、家に帰って寝る。
 甲陽学園高校1年の川島ヒイロはこのつまらないループに飽き飽きしていた。
「おはよう!! 今日も浮かない顔してるわね。英語の予習ちゃんとしてきた?」
 校門の前で大きな声をあげて俺に話しかけているのは甲陽学園きってのスパルタ教師、新島冴子だ。
「やってきましたよ! 多分。」と中途半端な答え方をする俺。
 すると新島は「今度話があるから」と、俺に言い残しどこかに行ってしまった。
 は? 何いってやがる。まあいいか。

 朝のチャイムぎりぎりに着席した俺は隣の席の西村綾芽に声をかけた。
「1時間目の授業何だっけ?」
 西村はまたかという顔をしながら、「あんたの嫌いな英語。予習してきたの?」
 新島と同じことを言ってやがるこの女は、クラスでも優秀な生徒。
 こいつは毎日勉強、勉強でいそがしいらしい(自称)。
 まあ、俺には何の関係もないがな。

 ガラガラ。担任の山田敦が教室に入ってきた。
「みんな、おはよう!! もう学校には慣れてきたかな」
「では、朝のHRをはじめる!!」
 あーあ、こうゆう坦々とした長話は聞き飽きた、早く終わらせろよな。
「えー、話の最後になるんだけど、最近連続通り魔殺人が起きているらしいから気をつけろとのことだ」
 では以上、と言って山田は教室を出て行った。

 そんなことがおきているなんて知らなかったぜ。「西村は女子なんだから気をつけろよ、なんなら俺と一緒に帰る?」
 俺はからかって言ってやった。「余計なお世話!! あんたに心配されなくても大丈夫だから!!」と、キレた口調で言った。
 素直になれよ。ガラガラ。「授業を始めます」新島が言った。

 キーンコーンカーンコーン。 
 昼休みのチャイムがなった。
「もう、昼休みかー、購買いこーぜ」
 俺は後ろの席の、前島和則を誘った。
 前島は中学校から一緒だった。
「いいよー。つーか今日の放課後ナンパしにいかねー?」
 何を言ってんだこいつは、こいつはいっつも女のことしか頭にないやつだ。
「ごめん、今日予定入ってんだ。てゆうかよー、少しは二次元の美少女も愛してやれよ」
 前島は言った。「うるせーな!おれはオタじゃねーよ」
 まあ、いいか。

 そして俺たちは、購買で適当に買って屋上で昼食を済ませた。

 午後の授業も終わり、気付くと外は真っ暗で冬とゆうこともあり、かなり肌寒かった。
「6時30分か」このあと俺は本屋にいってアイドル雑誌を買う予定を急きょ変更して、新宿をうろうろして帰ることにした。
 なぜそうしたのかわからないが、もし俺がこのまま本屋に行ってアイドル雑誌を買ってすぐに帰っていればこんなことにはならなかっただろうと、つくづくそう思う。これから始まる世にも恐ろしい事件に巻き込まれてしまうとは、おもってもいなかった。

 新宿の西口から外にでた。肌に刺さるように寒風が静かに吹いていた。
 俺は、行ったことのない裏道を歩いていた。 
 ガサガサ。近くのの茂みで音がしていた。
 その瞬間鈍器のようなもので頭を殴られた俺は、わけがわからなく薄れていく意識の中で「104号室だ」とゆう声を聞いた。
 それから、俺は気を失った。


 どれくらいの時間が過ぎたか、俺は教室ぐらいの広さの部屋に寝ていた。
 他に二人の男が座っていた。「やっと、目覚めたか! 俺は三神修一。そんで、こっちは青柳勝だ」
 俺はわけが分からないまま、名前を言うと、ここはどこであんたらは何をしているのかと聞いたが、皆、人気のない道を歩いているといきなり殴られて、目覚めるとここにいたらしい。
「どうなってんだよ、一体!!」

 おれは、カバンの中の携帯電話で助けを呼ぼうとしたが、当然カバンはそこにはなくどうしようもない状況だった。部屋の扉にもかぎがかかっていた。

 1時間近く、沈黙が続いた。
 すると、

 ガチャっ。部屋の扉が開けられた。


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