菅原玲晶/作


満開の桜を見ていた春
唐突な春嵐がやって来た
無力にも散ってゆく花
それは汚れたゴミなのか?

さびしげに俯く僕を見て
あの人はこう言った
「咲いているときだけが花じゃない
 散るときさえ花は花」

咲かない花があること
咲く前に散る花があること
忘れてたわけじゃない

咲かない花があること
咲けない花があること
見て見ないフリしてた

咲かなくても花は花
もしもむしり取られたとしても
花は花 それだけでいい
それだけを知っていれば
花は花でいられる
花であることを誇りに思える限り


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