「ゼータ0096」について
あるいは告白


 16年前に、TV版「機動戦士ガンダム」の放送は終わった。皆さんは16年という歳月をどう思われるだろうか。
 もうそんなにたったかと思う方もおられるだろうし、まだ生まれてなかったという方もおられよう。そこで、TV版「機動戦士ガンダム」が放送されていた1979年から1980年にかけての事柄をいくつか並べてみる。ろくな資料を持ってないので偏った内容ではあるが、目安としてご覧いただきたい。

 これらを今と対比してみるとなかなか興味深い。
 日本じゃナトリウムが漏れ、南の海では相変わらず見栄のためだけの核実験が行われた。中国とベトナムは投資の対象となり、表面的には穏やかに装っている。あの哀れな空母は韓国にスクラップとして売られた。そもそもソ連自体が歴史から姿を消している。パルチザンの英雄の元に集っていた人々は血で血を洗う内戦にようやく終止符をうったが、憎しみはそのままだ。我々のお隣の国では、民衆を殺した者を断罪しようと躍起になっている。
 さて、振り返って我々自身はどうだろうか。罪のない赤ん坊は、生意気な高校生になったかもしれない。あるいはその高校生だった者で、一児の親となった方もあろう。
 しかし、私は何にもなっていない。あの時「ガンダム」を食い入るように見ていた根暗の中学生は、おっさんになってもやはり根暗だ。そしてあいかわらず、「ガンダム」を見ている。いや、正確に言うなら現実を「ガンダム」越しに見続けている。ひょっとしたら、あなたも私と同類かもしれない(そうでなければ幸いだが)。

 16年では解決できないこともある。16年かけて結果の出ることもある。16年後にようやく正されることもある。
 だから今年、「ゼータ0096」をやるのだ。私自身と、いるかもしれない私の同類のために。


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