
てんかんは突然の、大脳の神経細胞群の過剰な興奮による症状を繰り返す病気です。てんかん発作は、全身を硬くして震わせるものから、意識だけがボーッとするもの、眼球偏位のみがみられるもの、瞬間的に体をピクンとするもの、など多様な症状があります。てんかんの頻度は1000人に約8人と、日本でおよそ100万人の患者さんがいるといわれています。そのうちの約7割が小児期に発症しています。てんかんは、てんかん発作の型によって治療薬が変わってくるため、発作の型をしっかりと診断することが重要です。発作症状を中心に脳波所見を参考にして診断をします。
発作症状がてんかんの診断に最も重要です。どのような時に、どのような症状があったかを十分に観察し記録することが大切です。1日に何度も発作が認められる場合、発作が起きた時に撮影したビデオテープ等を持参して受診していただくと、医師の診断の助けになることが多々あります。
脳波もてんかんの診断に大切な検査です。検査では覚醒時(起きている時)と、うとうととして眠りに入るところと、浅い睡眠までの記録が重要です。覚醒だけの記録、睡眠だけの記録ではてんかん性発作波が見逃される可能性が高くなります。
原因としては先天性異常、脳出血・梗塞、髄膜炎、新生児仮死、早産児の脳室周囲白質軟化症、急性脳症の後遺症などが挙げられますが、実際には原因不明の例が多く認められます。てんかんの治療は基本的に発作型によりますが、原因によって治りやすさが異なります。
どのようなタイプのてんかん発作なのかによって治療が変わってきます。一般には薬による治療が行われます。
てんかんの治療薬を抗てんかん薬といいます。よく使われる抗てんかん薬としては、バルプロ酸(商品名:デパケン、セレニカなど)、カルバマゼピン(テグレトールなど)、ゾニサミド(エクセグラン)、フェニトイン(アレビアチン、フェニトインなど)、フェノバルビタール(フェノバール、ワコビタールなど)、クロナゼパム(リボトリールなど)、クロバザム(マイスタン)、ニトラゼパム(ベンザリンなど)が挙げられます。
てんかんの発作症状によって、これらの抗てんかん薬を使い分けます。これらの抗てんかん薬で効果のない場合、てんかん外科手術を行うことがあります。
どんな薬でも必ず副作用の可能性があります。抗てんかん薬は長く内服が必要なことが多く、より安全に治療を続けることが重要です。注意が必要な副作用は以下の通りです。
バルプロ酸 眠気、血小板減少、肝障害(高アンモニア血症)、食欲亢進、肥満、生理不順
カルバマゼピン 眠気、血球成分の減少、電解質異常、肝障害、発疹
ゾニサミド 眠気、ボーっとする、尿路結石、発汗減少
フェニトイン 歯肉の腫れ、多毛、肝障害、ふらふらする(濃度上昇で)
フェノバルビタール 眠気、多動、肝障害、発疹
クロナゼパム、クロバザム、ニトラゼパム 眠気、多動、よだれの増加
ここに記載したもの以外にも多くの種類の副作用が報告されています。しかし、大多数の患者さんでは副作用のために薬を中止しなければならないことはありません。必要以上に副作用を恐れることはありません。
抗てんかん薬の中止の基準は次の条件を満たす場合と考えています。
@最終発作から2年以上経過していること、
A2年以上脳波でてんかん性発作波を認めない
一般的にはこの条件で抗てんかん薬を中止すると、再発率は5〜10%と考えられます。
しかし、再発率はてんかんのタイプや、てんかんを起こすもとの病気によって変わることがあり、個々の患者さんで判断が必要です。
発作はおさまっているのに、脳波で発作波が何年間も持続して認められる場合は、患者さんに応じて判断をする場合があります。
また、良性のてんかんと診断した場合には、上記の基準よりも早く抗てんかん薬を中止することもあります。全体的には小児期に症状が出たてんかんでは、約80%が高校生ぐらいまでに抗てんかん薬をやめることができます。
