BATTLE ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜


第1話


 ピピピピピ…。
 目覚まし時計の音と共に、高円寺紀世彦(埼玉県立北屋中学校3年A組男子7番)は目覚めた。
「ふあ〜あ」
 紀世彦は目覚まし時計を止めると、下の階へと降りて、台所へ行った。
「母さん、朝飯まだ?」
 紀世彦が言うと、母、照美が言った。
「分かったけど…今日は修学旅行でしょ? 急ぐのよ」
「分かってるって」
 紀世彦は制服(紀世彦の中学は学ランなのだが、今は6月、カッターシャツでいい)に着替えた。
 紀世彦の学校は今日から2泊3日で岩手の平泉まで修学旅行に行く事になっていた。
 ―この修学旅行中に「アイツ」に告白するんだ!
 紀世彦はそっとズボンのポケットに、「アイツ」と一緒に写った写真を入れた。
 やがて出来た朝食を食べていると、2歳年下の妹、あずさが入ってきた。
「あれ、お兄ちゃん、どうしたの? 今日は早いね」
「修学旅行なんだよ」
 そう言って紀世彦がトーストをぱくついていると、隣の席で新聞を読んでいた父、光二が言った。
「なら、もう出たほうが良いんじゃないのか?」
「え?」
 紀世彦が時計を見ると、7時25分を指していた。
 ―集合時間は7時15分!
「やべえ!」
 紀世彦はトーストを咥え、スポーツバッグを持って出て行った。
「急がないと!」
 紀世彦は足がもつかぎりダッシュした。
 その甲斐あって、5分後には学校に着いた。
「良かった…まだ出てなかった…」
 しかし、「高円寺、遅刻だぞ!」と担任の高村隼人先生が注意した頃、紀世彦は汗だくで、今にも死にそうだった。


<残り42人>


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