BATTLE
ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜
第35話
「ウェェェェーッ!」
高山洋一(男子11番)は立ち止まり、吐いた。
―気持ち悪い…もう、あんなの見たくない!
洋一は、朝からずっと動いていた。
親友で、漫才仲間の橋本繁洋(男子18番)を見つけて一緒に行動しようと考えていた。
だが、この「ゲーム」で、特定の人を探すのは容易ではなかった。
そして、代わりに沢山の死体を見つけてしまった。
H−4では頭がぐしゃぐしゃの和歌野将(男子22番)の死体をまず、見つけた。
その後、呼びかけを聞いて、繁洋が行ってるかもと思い、向かったE−5で吉山孝太(男子21番)の首を刃物で貫かれた死体を見た。
怖くなって山を降りてすぐのF−6で頭の弾け飛んだ名神和代(女子14番)の死体(名札で、かろうじて誰か分かるというくらい、酷かった)を見た。
そしてついさっき、G−9で、あたりに肉片の飛び散った須藤広樹(男子9番)の穴だらけの死体と、袈裟懸けに斬られた仁村公子(女子15番)の死体を見つけた。
その時洋一は、自然と公子の死体が持っていたシュマイザーを持ってきた。
なぜなら、洋一に支給された武器は、ただの爪楊枝だったからだ。
「ウゲッ!」
洋一は今まで見た死体を思い出し、また吐いた。
―みんな死んでる。
―もう沢山死んでる。
―やる気の奴がいるんだ、この島に!
―誰がやる気なのかな…やっぱりみんなやる気なのかな…。
そして洋一は、恐ろしい考えに行き着いた。
―みんなやる気なんだ。じゃなきゃ、こんなに人が死ぬはずがない!
―やる気なんだ。他のみんなはきっとやる気なんだ!
―やってやる。そうしなきゃみんなやる気なんだから僕もやられる。
―みんな殺してやる。みんな…ミンナミンナミンナミンナミンナミンナ!
「あっはっはっはっはっは…」
洋一は、西の方、エリアで言うとF−8へ向かっていった。
洋一は、壊れた。
<残り30人>