BATTLE
ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜
第36話
島中に突然、稚下野の声が響いた。
「お前ら、元気にしてるかー! ちゃんと昼飯は食べてんだろうな? んじゃ正午になったから2回目の放送をするぞ! まずは死んだ奴の名前だ。女子18番、旗井卑弥呼、男子6番、国見俊和、男子21番、吉山孝太、女子14番、名神和代、男子9番、須藤広樹、女子15番、仁村公子、以上6名。そこそこのペースで来てるみたいだな! 次に、禁止エリアだ、1時から、C−9、3時から、J−6、5時から、D−8、以上だ。じゃまたな」
放送が終わると、藤川圭吾(男子20番)はため息をついた。
ここ、C−3にある農協に移動してから、大体10時間以上は経っている。
圭吾はその時からずっと目の前のノートパソコン(私物だ)に向き合っていた。
後ろでは、「仕事」をしている圭吾の変わりに、小畑智(男子3番)が地図に禁止エリアを書き込んでいる。
橘蓮(男子12番)は外で見張りをしている。
圭吾は苛立っていた。
こうして自分が「仕事」にもたついている間に、次々とクラスメイトが死に、脱出出来る人数が減るのだから。
それに、親友の高円寺紀世彦(男子7番)は死んでいなかったが、スタートした時に自分たちを襲った名神和代(女子14番)が今回の放送で死んでいたことが分かった。
襲われたとはいえ、一度でも会ったクラスメイトが死んだことに、圭吾は少なからずショックを受けた。
とりあえず、圭吾は和代に黙祷を捧げた。
すると、禁止エリアを書き終わったのか、智が話し掛けてきた。
「どう、うまくいってる?」
「ああ…何とかな」
圭吾の考えている事、それは脱出だ。
圭吾のパソコンの技術(それは反政府的な考えをもっていたパソコン部の先輩から習った。その先輩は去年アメリカのスパイとして殺された。まだ17歳だった)を使って本部のコンピューターシステムを破壊し、爆弾を作って突っ込ませる予定だ。
もうすぐ蓮と智に材料の調達に行ってもらう予定だ。
そこでふと圭吾の首に、痒みが走った。
汗疹だろうか。もう時期は6月、十分今も暑い。だいいちこんな首輪をしていたら、汗疹が出るのは当たり前だろう。
圭吾は痒みに絶えかね、首をいじった。
すると、首輪に何かがついているのに気がついた。
「これは…まさか」
圭吾がそうボソッと呟いたのを聞いたのか、智がやってきた。
「どうしたの?」
圭吾はパソコンの横に置いておいた自分の地図を取り、裏にペンでこう書いた。
『盗聴されてる』
智がぎょっとした顔で圭吾を見た。
『首輪にマイクが付いてるようだ。迂闊なことは喋るな。そしたら爆発する』
智が、圭吾の金釘文字に比べると随分上手い字で、こう書いた。
『どうすればいい?』
圭吾はまた書いた。
それと同時に圭吾は、やっぱり自分の字は下手だなと思った。
『連を呼ぶんだ。そしてこのことを教えるんだ』
智はその文字を見て頷くと、外に出ようとした。
すると、智が出るより先にドアが開き、蓮が入ってきた。
「圭吾、智! そこでコイツに会ったんだが、コイツ、やる気じゃないみたいだ!」
そして入ってきたのは曽原秀也(男子10番)だった。
<残り30人>