BATTLE ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜


第5話

 高円寺紀世彦(男子7番)は、通路側の席に座っていた。
 隣側には幼馴染の神野優(女子8番)、反対側の席の通路側には同じく幼馴染の倉田凪(女子6番)が座っている。
 紀世彦は隣の優の顔を見た。
 優は今日も眼帯をしている。
 何でも昔誘拐されそうになって、抵抗したら右目をナイフで刺されたらしい(本人は「もう済んだことじゃない」と言っていたが)。
 紀世彦は、前を見た。
 紀世彦の友人たち、藤川圭吾(男子20番)、小畑智(男子3番)、橘蓮(男子12番)が笑いあっていた。
 どうも蓮が笑い話をしたようだ。
 圭吾はいつもクールで物事を冷静に見ている奴だ。パソコンが得意で、今日もノートパソコンを持ってきたと言っていた(紀世彦も圭吾にやらせてもらったことがあるが、5分で挫折してしまった)。
 智はおとなしい奴だが、一風変わった趣味を持っている。
 それは乗馬だ。将来は競馬の騎手になるんだといつも言っている。
 蓮は陸上部の短距離選手で、足が速い(紀世彦も一応陸上部だが、どっちかと言うと中距離や長距離の方が得意だ)。
 そして蓮はクラスの男子で2番目に背が低い。確か157センチだったはずだ。
 1番背が低いのは橋本繁洋(男子18番)で、154センチしかない。
 どうも、今繁洋は親友で漫才をいつも一緒にやる高山洋一(男子11番)と漫才をやってみんなを笑わせていた。
 しかし、バスケ部のエース、厚木好雄(男子1番)やその友人で不良っぽい木田治(男子5番)、治の恋人で女子不良グループリーダーの須磨野桜(女子9番)、何を考えているのか分からない仁村公子(女子15番)、暗くて孤立している平野光子(女子19番)は全く笑っていなかった。
―おいおい、2人の漫才は学校一だと言われてるんだぞ? 普通は笑うだろ?
 紀世彦はそう思った。
 時計が8時21分を指していた。


<残り42人>


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