BATTLE ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜


第7話

「あー…眠…」
 佐藤康利(男子8番)はバスの1番前、左側の窓際の席で呟いた。
 隣の須藤広樹(男子9番)もうとうとしている。
 康利は何となく後ろを向いた。
 後ろに座っているのは、康利の友人で大らかな性格の国見俊和(男子6番)が座っていた。
 通路側にも同じグループで一緒に行動している於保正己(男子4番)がいる。
 ただ、康利はいつも神経質でそりの合わない正己の事が嫌いで2人は犬猿の仲だった。
 それでも俊和がいつも喧嘩の仲裁に入るので、未だに同じグループにいるのだが。
 そんなことを考えていると、一番後ろにいる男子不良グループが見えた。
 左端にはリーダーの曽原秀也(男子10番)。
 その隣に喧嘩は弱いが、秀也に忠誠を誓っている今井友也(男子2番)。
 真ん中に何となく不良グループに入っている感じの円谷和彦(男子15番)。
 和歌野将(男子22番)をイジメることしか出来ない彦野勝(男子19番)たちだ。
 その近くではまだ高山洋一(男子11番)と橋本繁洋(男子18番)が漫才をやっている。
 2人はどうもさっきから話しもしないし笑いもしない仁村公子(女子15番)を笑わせようとしているようだ。
 しかし公子は笑わない。
 やがて2人は諦め、今度は厚木好雄(男子1番)と木田治(男子5番)を笑わせようとし始めた。
 そこで康利は、後ろの俊和に肩を叩かれた。
「おい、康利、おい!」
「なんだよ俊和…?」
「お前さ、旗井の占いやってみないか?」
「旗井の?」
「ああ。あいつの占いって、よく当たるらしいぜ」
「…分かったよ」
 康利は、反対側の席にいた旗井卑弥呼(女子18番)に占ってもらった。
 卑弥呼は水晶玉を用意して、占いを始めた。
「旗井…どうなんだ?」
「…近いうちに、何か、大切なものを失うでしょう」
「あ? 何だそれ?」
 そう言って康利は窓に向いた。
―大切なものって…何だ?…まあ、いいか。どうせ当たるわけねえよ。
 康利は占いの結果について考えるのをやめた。
 しかし、卑弥呼の占いが後々当たってしまうことを、彼が知っているはずがなかった…。


<残り42人>


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