BATTLE ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜


第8話

 時計が、8時50分を指した。
 絵馬忍(女子3番)は通路側の席で、隣の小山田智絵(女子4番)の話を聞いていた。
―退屈。やることないな…。
 忍は智絵の話を聞きながら、ふと前を見た。
 担任の高村隼人先生が座っている。
 高村先生は、はっきり言ってクラスの中ではあまり好かれていなかった。
 厳しいし、うるさいし、担当している国語の授業も教え方が下手でしょうがない。
 他に良いところもあるのだろうが、どちらかというと悪い方ばかり目立っている。
 そこで忍は突然、気分が悪くなった。
「うっ、ゲホゲホゲホ!」血をエチケット袋の中に吐いた。
「どしたの忍!」
 智絵が言った。エチケット袋が白色だったおかげで、吐いたのが血だとはばれなかった。
「何でもないの、ちょっと車に酔っただけ」
「…そう、良かった…」
 忍はエチケット袋を高村先生に渡しておいた。
 そして忍は席に戻り、智絵と話の続きを始めた。
 それから10分ほど経っただろうか。
 突然、忍は眠気に襲われた。
―あれ、どうしたんだろう…。
 忍が顔を上げると、バスガイドと運転手が顔に何かをつけていた。
―何、だろう、あれ―。
 そこで忍は、完全に眠りについた。
 ガスマスクをつけたバスガイドは、生徒全員と、高村先生が眠っているのを確認して、運転手に言った。
「オーケイです」
 そして同じくガスマスクをつけた運転手は、無線を取り出すと、言った。
「稚下野先生。対象クラスの生徒全員と担任教師、確保しました」
 その2人の胸では、政府関係者をあらわす、桃色のバッジがついていた。


<残り42人>


   次のページ   前のページ   名簿一覧   表紙