BATTLE ROYALE
終わりに続く階段


第2話

 1993年12月18日21時48分
 時計のカチカチときしんだ音につられ、うつぶせになっていた
椎名未来 (女子2番)は自分の体をゆっくりと起こし、虚ろになっていた目を最大限まで見開き辺りを見回してみた。
 白い蛍光灯、所々汚れた白い壁、黄色く濁った黒板、驚くことにこの薄汚れた木造建築は私達の教室、すなわち神奈川国際付属中学校3年2組にそっくりだった。
「ミライ、、、ここどこなんだ、、、?」
 幼馴染であり貴重な男友達である
柳生敏哉(男子4番)が眠そうに目をこすり、野球部らしいスポーツ刈りの頭をかき回し、あたりを見渡した。
「分からない、でもここうちのクラスじゃないみたい・・・」
「いったいさっきの異常な睡魔といい、良く分からんとこにいたり、今日はいったいどうなっているんだ」
 その刹那ガシャンと一番後ろで机が大きな音で倒れた。
 不意に後ろを向くとどうやら未知の恐怖で錯乱した男子委員長の
楠哲平(男子1番)を同じ出席番号でありまた女子委員長である五十嵐桃子(女子1番)が抑えているようだ。
 楠の顔は普段の人柄を微塵も感じさないほど狂気の色に染まっていた。
「アヒャヒャヒャとうとう選ばれちゃったよ」
「大丈夫だよ楠くん、あれなわけないよ」
「違うわけないだろ」
 楠はそのままヒステリック気味に暴れると、さきほど抑えていた桃子の腕を振りほどいた。
 抑えてた桃子はそのまま大きく尻餅をつき苦痛な表情を見せた。
「俺たちはプログラムに選ばれたんだよ」
 そのまま楠は狂ったように笑った。
 えっ? あいつなんていったの・・・。

 教壇近くのドアから誰かが入ってきた。
「はい皆さん起きてるようですね」
 20代前半と思われる男は見る限り高級そうな黒を基調としたスーツをホスト風に着崩し、茶髪のフラットパーマという随分と派手な格好をしていた。
 そしてその男は黒板にラフな筆記体で自分の名前を書き始めた。
 トオミネ レイジ
「俺は今日から君たちの新しい担任になった
遠峯怜二といいます。短い間ですがよろしくお願いします」
 遠峯はゴホンとわざとらしく咳払いし黒板を割れる勢いでバンと叩いた。
「はい、今日は何するか知っていますか!?」
「今日はね、皆で殺し合いしてもらうんですよ」

 残り7名


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