BATTLE
ROYALE
〜 終わりに続く階段 〜
第26話
あれから二年後。
椎名未来(元神奈川国際中等部三年二組女子二番)はプログラム終了後、付属中学出身が故のなれない受験勉強に苦戦しながらも念願の都立柱島高校へ合格できた。
桜咲く入学式にプログラムの優勝者とばれないかと、和気藹々とした面々に囲まれながら不安に感じていたが、その素性は知られず今に至る。
「ねぇ未来…進路どうするの」
その入学式からの親友の横村菜緒子は、机に寝そべりながら今日学校で渡された進路手帳を手に取り、それをまじまじと見ながらいった。
二年の後半となるとそろそろ進路の話が耳から来る。
三年になったら大学に向けた受験が始まるだろう。
私はコッペパンをほお張りながら少し考えた。
「多分料理専門学校とかかな…」
とりあえず料理専門学校を目指したが、自分にはまだ誰にもいってない夢があった。
反政府組織…
これは家族にも親友の菜緒子にもいえないことだ…
理由は勿論プログラムへの復讐だ…
俊哉、優、桃子、服部、楠、そして七姫…
6人の屍を超えて今の私がいる。
最近ごく一部に普及してきたインターネットでそれを検索するとひとつのサイトが出てきた。
組織の名前はrevolutionary army米帝語で革命軍という名だった。
命の保障はない。正直、リスクは高い。
「わたしは短大かな…早くお母さんの跡継ぎたいし」
菜緒子は流行の光沢のあるジャケットを羽織ると教室の窓で黄昏た。
「ほら見て飛行機雲!」
菜緒子が指差した先には、青い空を真っ二つに割った飛行機雲が見えた。
「って普通の飛行機雲じゃん。そんなに興奮しなくても…」
「出た未来の現実主義!」
酷いと手に口を当てたジェスチャーをした菜緒子を見た私は思わず噴出してしまった。
でも確かに綺麗な飛行機雲だった。
菜緒子が興奮する理由を、まぁだいたいわかった。
私はうっとりしながら髪に指をかけた。
セミロングだったあのときより延びた髪…。
「どうしたの、急にボーッとしちゃってさ」
「ん、あぁなんでもないよ」
階段はもうあの時に途切れた。
でもあの飛行機雲を見てまた新しく歩みだそうと思った。
今度は進まされるのではなく自ら進んでいきたい。
革命のはじまりだ。
〜fin〜