ほーちけんだより(Miscellaneous)


21    鯨尺
2013-02-13 
昔は長さの尺でも鯨尺というのがあった。主に着物の仕立ての時に使ったのだ。私が子供のころ、母親が着物を仕立てるときは必ず鯨尺を使ったのを覚えている。しかし人と打ち合わせをするときは「鯨で何尺何寸何分」といちいち「鯨で」、「鯨で」と確認しながら作業していた。紙に寸法を書いて人に渡すときも「クジラ」と記入していた。
 ネットで得た知識だが尺貫法(曲尺)の1尺は30.303cmで鯨尺の1尺は曲尺の1尺2寸5分だそうだ。六尺フンドシの長さは鯨尺の単位だから曲尺より25%ほど長いことになる。単位を統一するか単位名を変えるかすればこんなマギラワシイことはなかったろーに、昔の人はバカだったんだな、と思うが、昔の人を笑ってはいられない。
 放射線の分野でも実効線量と1cm線量当量に同じシーベルトが使われている。飲みにいくと「片っ方をシーベルトとかトルベーシとかにすれば紛らわしくないのに」などと周りにほざいている。ネットを検索すると猫も杓子もシーベルト、シーベルトとカマビスしいが、どっちのシーベルトかきちんと断わって使ってる御仁は皆無に近い。自然環境γ線では同じ空気吸収線量に対して1cm線量当量は実効線量の1.6倍も大きいのに、だ。相手に伝える時や報告書では1回1回必ず「実効で」とか「1cmで」と断わるべきだ。
 さらに混乱させるような、こんな注意書きもある。「モニタリングポストはμGy/h(マイクログレイ毎時)で測定されていますが、本ウェブサイト上では、1μGy/h(マイクログレイ毎時)=1μSv/h(マイクロシーベルト毎時)と換算して表示しています。」 これでは放射線に疎い人にとってはますます何が何だか訳が分からんだろう。
 我が家には今でも鯨尺がある。狭いところに入りこんだ物を引っ張り出したり、覆いを奥のほうに延ばしたりするときとか、背中が痒いときには現役で活躍している。


22    原発事故報道と空間線量
2013-01-29 
ネットを見てたら3.11以後の放射能関連のテレビ報道時間の推移を示すデータがあった。報道量の減り方が空間線量のモニタリングデータ と似ていたので両者をプロットしてみた。飯舘村のモニタリングポストのデータを例示してあるが、他のモニタリングポストも減衰曲線の形は類似している。報道量と線量の推移はよく似ている。あれほどの事故でもマスコミが関心を持続するのはせいぜいこのくらいなのだろう。第7週から24週までのデータは載っていなかったのだが、こうなると詳しいデータが欲しくなる。
 第7週(4月30日)までの放映時間データでは減衰定数が0.31/weekとなった。逆数をとって7を掛けると23日。「人の噂も75日」というが、 テレビニュースは1ケ月もたないということになる。しかしテレビ局も時々思い出したように放射能関連の報道をするが、これは フォールアウトの長寿命核種に対応するような動きだ。


23    きもの
2013-01-06 
学生のころも就職してからも所帯を持ってからも下宿や家では着物を着ていた。退職してからは一日中着物暮らしだ。最近、台所を改造することにしたのだが、そのため一週間ほど大工や職人が出たり入ったりするので、とりあえず昔、息子が着ていたジャージで暮らした。が、とてつもなく着心地が悪い。着物だと常に下腹を帯でギュっと締めているのだが、ジャージだと下腹がダランとした感じになって気合が入らない。そのせいか着物よりも暖かさが感じられないのだ。
 小用をたす時も実に不便だ。着物ならスンナリ用をたせるがジャージは小便用の穴がないのでいちいち下げなければならない。なぜこんなものが世に出回っているのだろう。単なる慣れかもしれないが、もうコリゴリだ。工事が終わってさっそく着物に着替えたがこっちは極楽だ。
 小便と言えば、昔々、長唄の笛を習っていたころ、一人の医者が弟子入りしてきた。かれは今まで着物を着たことがなかったので、初めての発表会のときはヴェテランの姉さまがたに着物を着せてもらった、着方をいちいち理詰めで聞きながら。次にトイレに行く時はどうするのかと私に聞くので(周りには女の弟子しかいないので私に聞くしかなかったのだ)「ただ袴をたくし上げるだけだよ」と教えてやったのだが納得しない。トイレに行って実演してくれと言う。で、彼を連れてトイレに行って並んですることになったのだが、うまく行かないと言って何回も何回も私が用をたしているところを仔細に観察する。しょうのない医者だった、ったく。

24    キセルの掃除
2012-12-21 
日ごろ刻み煙草をたしなんでいるのだが、キセルの掃除がけっこう大変なのだ。昔はラウ屋というキセル掃除専門の稼業があったそうだが、今や明治村に行っても居ないだろう。私の場合は2〜3日おきに太目の針金を吸い口から通してでガリガリやる。1ケ月に一回くらいはキセルの雁首の火皿から熱湯を通す。ニコチンは固まるが熱には溶けやすいのだ。掃除をすると美味さがグーンと上がる。
 他の人はどうしているのかなと思いネット検索したらなんと、YouTubeで実演しているではないか。映像ではティッシュをコヨリにして吸い口から通し火皿から出てきたところを引き抜いていた。これなら図書館で調べるより、よほど手軽で分かりやすい。便利な世の中になったものだ。


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