ネット検索によればタバコ1本喫うと寿命が5分30秒縮むのだそうだ。そういえば在職中に健康診断で「あなたは1日何本タバコを吸いますか?」というアンケートをとられたことが度々あった。しかしタバコの種類を聞いてきた例は無かったように記憶している。科学的調査ならタバコの種類は必須項目のはずなのに何故だろうといつも思っていた。医師の個人的な研究用のアンケートだったのかもしれない。
時間が無尽蔵にある現在、この疑問の答に少しでも近づくべく、ささやかな調査をしてみた。240あまりのタバコの銘柄のニコチン、タール量の一覧表から下図のような結果を得た。これだけ標準偏差の大きい分布に対して「1本5分30秒」などと大胆な結論は出すとはまことにいい度胸だ。これはタバコのニコチン・タール量の平均値に対するものだろうか?もし寿命がニコチン、タール量によるものならば、例えば私はピースの両切り(ニコチンもタールも全銘柄中最高値を誇る:喫煙者の矜持)を喫ってるが、平均の4.4倍もの量なので1本当り24分12秒寿命が縮むことになる。18の時から雨の日も風の日も休まず平均1日10本を52年間喫いつづけた。だから24.2x10x365x52=4593160分=8.7年すでに寿命は短縮したのだろーか?ならばソロソロお迎えがきてもいい頃だが...、しかし待てよ!自分は百薬の長である酒も毎日欠かさず飲んできたから、その分寿命が延びて帳消しになってるのかも...などと思いつつ、つい一服。
だけど体にいい酒は1合で何分何秒、寿命が延びるのだろう?私がもし平均寿命まで生きれると仮定すれば、24.2x10=Tx1.5よりT=161分=2.7時間が導かれる。
5分30秒などというナマナマしい数字を出されると喫煙オジサンも心理的にビビるはずだ。「これはあくまで確率・統計的な意味あいなのだろうな?LNT仮説で出した結果だろうか?女はしょっちゅう化粧をしてるが一回頬ッペにパンパンするとどれだけ皮膚ガンの確率が高まるのだろう?もしかして排気ガスを出す産業がタバコの方に目を逸らせるためにやってるキャンペーンかも...」などと考えるゆとりもなく禁煙外来に向かうのではなかろーか?
原発事故以来、被曝線量と危険度の関係記事が氾濫している。ネットでいろいろ探したが今のところ「1mSv浴びると〇〇年寿命が縮まる」という表現は見つけることが出来なかった。気合入れて探せばどこかにあるはずだ。しかし一旦このような根拠薄弱な数字が世に出ると数字が一人歩きする。上で計算したような奇妙奇天烈な論法で数字をこねくり回し、ノイローゼになる人が増えるに違いない。いくら有識者が「この程度ならそんなに心配するほどの線量ではありませんよ」と繰り返し声明を出しても、かえって不安がつのるだろう。
ちなみに私は学生時代から停年まで放射線の実験を続けてきたので、一般の人よりかなり多量に被曝している。私よりも何倍もマジメに放射線の実験をしてきた友達もたくさんいるが、連中のところにもなかなかお迎えが来ない。何故だろう?
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