ほーちけんだより(Miscellaneous)


16    答志島
2013-04-27 
この島は三重県の鳥羽市にある島だ。先日、別件で訪れたのだが、ついでに島内で5点ほど測ってきた。
 かなり前、西南日本外帯(三波川、秩父、四万十帯)では秩父帯の線量が他の帯に比べて小さい傾向があることに気がついた。そこで長期目標に中部地方での外帯のデータを集めることも含めている。線量率レヴェルの違いが何に起因するのかつきとめたいからだ。
 こういうのは、始めから測定目的で行かないとたくさんのデータは集められないことは経験で知っているが、片手間で5点集めれば上々だ。地質図では島全体が三波川に属しているのでおおよその平均値を知るためならマアマアだろう。

17    砂浜測定三昧-3
2013-04-08 
今回は三昧どころではなかった。前回測った値が浜ごとにランダムに違ってたので、砂浜を25mおきに等間隔で100点測ろうと計画した。当日、歩きにくい砂浜を往復6km近く歩いてヘトヘトになった。しかしいいデータがとれたので疲れも半減。この時期にしては超快適な天気に恵まれたのも幸運であった。
 写真は天竜川の河口だが、両岸から砂州が発達していて、ほとんどくっ付かんばかりだ。海への出口が極端に狭く、一見、池のように見える。放射線の分布のモデルを考えなきゃならないのだが、このような摩訶不思議な地形になるメカニズムのほうが気になった。


18    老荘
2013-03-17 
青年時代は老子、荘子をよく読んだ。老子のほうは読んでもよく分からなかったが、荘子は分かったような気になった。要するに物事すべて裏読みすればいいんだな、と。当時、湯川博士がノーベル賞をとれたのも荘子を読んだからだ、という噂がまことしやかに語られ、ますます荘子読みに拍車がかかるのであった。
 しかしこのごろは論語や孟子になった。歳をとって、まっとうな人間になったからではない。いろいろな方面から考えるのがメンドーになっただけのことだ。歳をとると思考回路がものすごく単純になって、子供のころに覚えた道徳が生ででてくるようになったためだと思う。道徳といっても高いレベルの話ではない。曰く「人に迷惑かけるな」、曰く「ウソはドロボーの始まり」、曰く「年寄りには優しく」、曰く「人の身になって考えよ」、曰く「巧言令色少し仁」、「身を立て名を挙げ、やよ励めよ」というようなレベルの内容を大人同士の会話から自得しただけのことだ。だからこそ青年になってから荘子が目新しく映ったのだろう。論語は私にとっては子供のときに身に付けたような内容ばかりなので、深く吟味する必要がない。読んでて疲れないのだ。
 本来はキマジメな人は荘子を、ズボラな人は論語を読むべきなのだ。バランスがとれてちょうど良い。このごろでも寝るときに荘子を読むときがあるが、少し読んだだけで熟睡できる。

19    タバコの統計
2013-03-03 
ネット検索によればタバコ1本喫うと寿命が5分30秒縮むのだそうだ。そういえば在職中に健康診断で「あなたは1日何本タバコを吸いますか?」というアンケートをとられたことが度々あった。しかしタバコの種類を聞いてきた例は無かったように記憶している。科学的調査ならタバコの種類は必須項目のはずなのに何故だろうといつも思っていた。医師の個人的な研究用のアンケートだったのかもしれない。
 時間が無尽蔵にある現在、この疑問の答に少しでも近づくべく、ささやかな調査をしてみた。240あまりのタバコの銘柄のニコチン、タール量の一覧表から下図のような結果を得た。これだけ標準偏差の大きい分布に対して「1本5分30秒」などと大胆な結論は出すとはまことにいい度胸だ。これはタバコのニコチン・タール量の平均値に対するものだろうか?もし寿命がニコチン、タール量によるものならば、例えば私はピースの両切り(ニコチンもタールも全銘柄中最高値を誇る:喫煙者の矜持)を喫ってるが、平均の4.4倍もの量なので1本当り24分12秒寿命が縮むことになる。18の時から雨の日も風の日も休まず平均1日10本を52年間喫いつづけた。だから24.2x10x365x52=4593160分=8.7年すでに寿命は短縮したのだろーか?ならばソロソロお迎えがきてもいい頃だが...、しかし待てよ!自分は百薬の長である酒も毎日欠かさず飲んできたから、その分寿命が延びて帳消しになってるのかも...などと思いつつ、つい一服。
 だけど体にいい酒は1合で何分何秒、寿命が延びるのだろう?私がもし平均寿命まで生きれると仮定すれば、24.2x10=Tx1.5よりT=161分=2.7時間が導かれる。
 5分30秒などというナマナマしい数字を出されると喫煙オジサンも心理的にビビるはずだ。「これはあくまで確率・統計的な意味あいなのだろうな?LNT仮説で出した結果だろうか?女はしょっちゅう化粧をしてるが一回頬ッペにパンパンするとどれだけ皮膚ガンの確率が高まるのだろう?もしかして排気ガスを出す産業がタバコの方に目を逸らせるためにやってるキャンペーンかも...」などと考えるゆとりもなく禁煙外来に向かうのではなかろーか?
 原発事故以来、被曝線量と危険度の関係記事が氾濫している。ネットでいろいろ探したが今のところ「1mSv浴びると〇〇年寿命が縮まる」という表現は見つけることが出来なかった。気合入れて探せばどこかにあるはずだ。しかし一旦このような根拠薄弱な数字が世に出ると数字が一人歩きする。上で計算したような奇妙奇天烈な論法で数字をこねくり回し、ノイローゼになる人が増えるに違いない。いくら有識者が「この程度ならそんなに心配するほどの線量ではありませんよ」と繰り返し声明を出しても、かえって不安がつのるだろう。
 ちなみに私は学生時代から停年まで放射線の実験を続けてきたので、一般の人よりかなり多量に被曝している。私よりも何倍もマジメに放射線の実験をしてきた友達もたくさんいるが、連中のところにもなかなかお迎えが来ない。何故だろう?


20   
2013-02-18 
大学入学以来、酒は毎日欠かしたことが無い。若い頃はムチャ飲みしたことも度々あるが、歳をとってからは付き合いもグーンと減ってマイペースで毎日楽しんでいる。停年のころまでは夏は晩飯時にビール1本、冬は熱燗1合半、布団の中でウィスキーをロックでコップ1杯飲んで寝た。が、その後は寝酒のせいで夜中にトイレに起きるのが億劫で寝酒を断念した。
 若い頃は飲みすぎて自転車から落ちて鎖骨を折ったり、原付から落ちて前歯を欠かしたりしたこともあった。しかし誰も同情はしてくれない。昔は質の悪い安酒ばかりを飲んでせいか二日酔いもヒドかった。翌朝の頭痛がハンパじゃない。友達と飲むと酒量も増え、大声でシャベり笑って普段以上にタバコを喫うからだ。鎖骨を折った時も、二日酔いの頭痛が引いてから肩が痛いのに気がつき、病院でレントゲンを撮ってもらって初めて分かったのだ。二日酔いは痔や痛風と同じく症状がヒドいのにも拘わらず誰も同情してくれない。自業自得と笑われるだけなのであった。病に上下は無いはずだ。なのにこの不平等は何故なのか?世の人に博愛の精神は無いのか?


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