美奈子のつぶやき
〜 あとがきと解説 〜


第四部 終盤戦

55

いよいよ終盤戦です。
プログラム開始前に姿を消した担任が再登場です。

決して生徒を見捨てたわけではなく、救助に現れた担任。
副題の「荒波を越えて」の意味の一つが、実際に海を渡って担任が救出に来ることだったのです。
決死の決意は無事に実るのか・・・

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少しずつプログラム的サバイバルに慣れてきた理香。
ある種の成長と言えましょう。

しかし現れた愛夢(来夢)に充分警戒していたにもかかわらず、一瞬の隙が・・・
麻衣によって救われました。
信頼できる仲間はやはり大切です。

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勉学こそが全てだと考えている賢一。
現実見当識に欠けていると言わざるをえないでしょう。
先刻の理香との遭遇で焦りが募り、やや冷静さを欠いてしまったようです。

舞い上がってしまったあかねを冷静に止めた奈緒美。
雅樹が訪れるまでミスの無い行動を続けられるでしょうか。

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プログラムにおける目標が通常とは異なっている肇。
報われないまま頑張っています。
カモと思われる標的を見つけたのですが、相手はプログラム中で成長していたようです。
それでも辛うじて勝利寸前になったのですが、またしても・・・

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42人中、最後の登場となった沙織。
出発後、ひたすら隠れていたので今まで出番はありませんでした。
マシンガンを持ちながらも頭は恐怖で一杯です。さらに疲労が・・・

現れた愛夢は、勿論川崎来夢です。
視点の沙織が全く気付いていないので、文中では徹底して愛夢になってますが、賢明な読者諸兄姉にはお解り頂けると思います。
この物語は、後のストーリーの伏線になります。


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久々の政府視点。
優秀な責任将校の印藤にも悲しい過去がありました。
プログラムに嫌悪感を抱いたはずですが、いつのまにか感覚が麻痺したようで、今は出世に燃えています。
といっても、桃香が優勝しないと自分の将来はないと思っているので、今回は必死でしょうけど。

そして、担当官の美和は何をしているのか。
今作の大きな鍵が開かれようとしています。

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担当官、美和の過去。
キルスコアゼロの優勝は理論的には可能ですが現実には殆どないでしょうね。
恋の恨みをからめて演出してみました。

そして、美和は大事なものを紛失して探していたのです。
他の者に拾われる前に見つけねばならないので必死です。
探し物のありかについて見当のつく方もいらっしゃるでしょうけど、これに関しては掲示板ではなくメールでお願いします。
大変重要な点ですので。

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一苦労の末、美和に接触した担任の美香。
美和を脅迫して生徒を救おうとしているのですが、上手く行かないようです。
担当官の権限を過大評価していたと言えましょう。

明らかに保身的になっている美和ですが、動揺はしているようです。
さて・・・

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放送シーンですが、むしろ主役は臨時放送。
会場に侵入した美香の始末を生徒に肩代わりさせようとする政府。
ややこしい条件をつけているのは、生徒に盗聴を察知されないためです。
兵士の身を危険に曝さないという目的もあるでしょう。
特別生還という餌を見せられて、やる気になる生徒はいるのか。

臨時放送と本放送の相次ぐショックで注意力の低下した理香。
あっさりと守に接近されてしまいました。
相手が危険人物だったらアウトだったでしょう。

相変わらず女子に対する緊張が強い守。
はたして想いは通じるのか・・・

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最近は作戦が不発続きの賢一。
失敗の焦りから、さらにミスが増えています。
しかも理香に指摘された点を守っていたのが逆効果になるとは・・・

奈央の方は、琴音と同伴しているうちにやや成長したようです。
それでも、突然の一撃を命中させるのは無理でした。
琴音の勝利の支援だけはできましたが。

そして、琴音。
クラスメートを理解していない欠点が暴露されています。
琴音にとっても奈央を同伴しているのは幸運だったかもしれません。

65

来夢の策略は愛夢の姿に油断する者に対してしか効果がありません。
やる気の者には全くの無効。
見つけた雄三がやる気かどうか考えていたら、既に発見されていたわけです。

その後のシーン。
原案では、来夢が潔く首を刎ねられる予定でしたが、変更して悪あがきさせてみました。
ずるい来夢には、その方が似合いそうですし(笑)

無論、雄三は余裕で見破っていました。
愛夢と来夢の見極めは無理だったでしょうけど。

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閉じ込められていた独房から救出された愛夢。
来夢を探して説得したかったのですが、来夢が接近していた相手が雄三だったので、つい叫んでしまいました。
後悔しながら走っていて見つけたのが沙織。
安心して声をかけたのですが・・・

綾が愛夢を見つけたのは勿論レーダーのおかげです。
鍵を開けられたのは・・・(謎)
相変わらず、綾は単独行動に徹しているようです。

愛夢にはかわいそうな結末ですが、川崎姉妹は相次いで退場となりました。
間接的とはいえ、お互いがお互いの死の原因になっていることに注目していただければ幸いです。


67

桃香がもし一般家庭の子だったら、恐らくやる気になることはなく、脱出を試みていたでしょう。
しかし、桃香の立場はそれを許しません。
立場のためにやる気にならざるをえないのは、ある意味気の毒ではあるのですが。
それでも、普通の少女の心をどこかに残しているようです。
強運で最強の敵を倒した彼女の今後は・・・

一方の雄三。
彼の立場では最も許せない相手が桃香です。
桃香を仕留めることを第一目標にして徘徊し、ついに遭遇。
バトルも完全に勝っていたのですが、最後に運が逃げていきました。
こうして、最強の男は退場と相成りました。

なお原案では振りかぶった雄三の刀に落雷して感電死するというものでしたが、あまりに漫画的なので変更いたしました。
ちなみに、“そんな強力なトリモチをどんな容器に入れておくのか?”という質問はご遠慮願いたく存じます(大汗)

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じっと機を待つことが出来なかった早紀。
焦った行動は、結局自らの死を招いてしまいました。
最後は命乞いまでしましたが全くの無駄。
守の真意を知った衝撃もなかなかのものだったでしょう。
以前にどなたかの指摘があったとおり、特別生還証が災いの種になってしまいました。

69

ついに篤の正体と真意を大公開。
単なる優勝でなく、キルスコアにもノルマを背負っていたのです。
ストーリーのネタは無論、日本史に多く見られるお家騒動。
長男を廃嫡しようとして悲劇を招いた例は斉藤家・大友家などが有名ですね。

プログラムと事前に知っていた辺りは前作の塩沢冴子と同じですが、事前のクラスメートとの接し方が異なっていたようです。
篤は予備知識を生かして戦っているわけです。

そして、委員長奈緒美もピンチに・・・
でも奈緒美は篤のキルスコアを増やすことはありません(謎)

70

委員長奈緒美の最期です。
今作の構想段階から、ほぼ決定していたストーリーです。
気合が入りすぎて長くなりました(汗)

判断ミスを悔いながらも必死で戦った奈緒美ですが、やはりマシンガン相手では苦戦です。
地の利がなければ簡単に討ち取られていたかもしれません。
そこへ救世主の登場ですが、篤を倒すのは困難で逃走を選択します。
しかし、ここで無念の負傷。安静に出来ないため悪化する一方でしょう。
外階段の存在を知っていたため何とか脱出しましたが、ここで先刻の雨が不運を招きます。
折角篤との距離を広げていたのですが、結局は逃げられません。
雅樹に逃げてもらうため、苦悩の選択をした奈緒美でした。
そして、雅樹もそれに応えます。
結果的に篤はキルスコアを伸ばすことが出来ませんでした。

最後の方では、自分で書きながら不覚にも涙ぐんでしまったことは、ここだけのお話です(大汗)

71

早紀の亡骸を見つけてしまった守は、当然ながら後悔の念に満たされます。
せめて仇討ちをと考えたのですが、結局仇が蜂須賀篤であることを知ることさえ叶いませんでした。

妙な理屈を捏ね回している桃香ですが、本人にとっては真理なのでしょう。
守を本気にさせた結果が思わぬ大苦戦。
桃香のプライドでは、トラップによる勝利などは不本意極まりないことでしょう。

72

構成上の都合で回想シーンになってしまいましたが、理香にとっては今までで最もダメージの大きい放送です。
奈緒美は脱出の誓いを立てあった大切な仲間。
さらに、雄三や守の名前もショックを増大しています。

疲労のあまりのうたた寝。
夢に出たのは麻衣からのSOS。
慌てて駆けつけてみれば・・・

今回も肇にしっかりと変態ぶりを発揮してもらいました(笑)
人質を取られて、脱げと言われるのは最悪のシチュエーションでしょう。
綾の登場で助けられましたが犠牲は大きく・・・
綾の正体に関しては今しばらくお待ちくださいませ。

73・74

途中で視点を変更している関係で2話になってますが、実質的には1話です。

自分の錯覚を知った沙織はショックを受け、本来以上に能力が低下しています。
現れた桃香が救世主に見えてしまったり・・・
桃香が登場してすぐに逃走すれば、もう少し長生き出来たかもしれません。

桃香にとっては、プログラムでなくても制裁を加えたいような相手です。
肇が沙織に夢中になっていたため、容易にマシンガンをゲットです。
最近苦戦続きの桃香としては久しぶりの楽勝です。
沙織を撃ったのは冷酷なのか温情なのか微妙ですね。

そして、肇のラストステージ。
宿願を果たす寸前までいったのですが、またしても・・・
マシンガンを先に抱え込んでいれば、チャンスがあったかもしれませんが、欲望が先走って致命的な失策となってしまいました。
悪あがきしてみたものの所詮敵う相手ではありませんでした。

75

原案では琴音視点だったのを変更しています。
その段階では、雅樹が奈央の手を引いて篤から逃走する設定でしたので、退場者である琴音の視点にしないと書けなかったのです。
しかし、雅樹が篤から逃げるのは先刻もあったばかりですので、今度は篤に逃げてもらいました。
この場合は琴音を看取ることが出来ますので、奈央視点で問題なしとなりました。

奈央の弾を琴音に当てるかどうかは随分悩みましたが、結局業を背負ってもらうことにしました。
琴音もここで消すには惜しいキャラなのですが、退場していただくことと相成りました。

76

久しぶりに担任美香の登場です。
桃香を説得して翻意させたかったのですが叶わず、戦闘になってしまいます。
桃香がプライドをかなぐり捨ててウージーを使用した場合は仕方が無いと思っていたのでしょう。
首尾よく桃香を負かしましたが、何か成算があるのでしょうか。

一方の桃香。
尊敬する教師なので、プログラム会場に来て欲しくはなかったでしょう。
本来ならば美香は国賊なのですが、尊敬の念はそれ以上に強かったようです。
美香とは人生経験の差も大きかったと思われます。

77

雅樹の正体の公開です。
前作に登場した秘密結社職員の大河内志乃の弟というのが雅樹の正体。
最初に2人いると申し上げた前作関係者の1人が雅樹だったのです。
そして48話にて大河内家を訪れていた客人の正体が志乃だったわけです。

完璧なプログラム脱出策を志乃から授かったはずなのですが、残念ながら首輪は新型。
途方に暮れながらも雅樹は頑張ります。
無事に理香に会えますでしょうか。

78

本作の鍵となるキャラである綾の正体を大公開。
石川五右衛門が若い頃に百地三太夫の弟子だったことは事実のようです。
ただし五右衛門の子は父とともに釜茹でにされたらしいので、恐らく子孫は残っていないでしょうが、フィクションとして御容赦願います。
無論、百地家とは異なり表だって活動することは出来ません。
これで出発時の綾の行動の謎も解けましたね。
事前に正解されていた方、お見事です。

どうにか首輪の解体方法を完成させましたが、自らは散る結果に。
託された五十鈴の今後は・・・

そして篤のノルマはあと1人。
達成できるや否や・・・



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