BATTLE ROYALE
死線の先の終末(DEAD END FINALE


10:狂女

 遠くで銃が連射する音が聞こえた。しかも2度も・・・・
 今、読んでいる本を大切に握り締めながら、井口 友香(女子3番)は銃声のした方角からひたすら、逃げていた。そして探していた。自分より4分前に出て行った、親友の家島 舞(女子2番)のことを。

 自分の番になって急いで外にでてを探したが、どこにも見当たらなかった。そうしてるうちに、次の人が出てくるかもしれないので、急いでその場を離れた。誰が「やる気」になっているか、わからなかったからだ。
 やる気になっている人といえば、おそらくあの『転校生』たちは間違いないだろう。そして能登さんもそうだ・・・ あとはわからない。じゃあ味方になってくれそうな人は・・・

 やっぱり舞ちゃんしか信用できないよぅ。舞ちゃん・・・どこにいったの? どうしてあたしを置いてけぼりにしたの?
 出会いの記憶が鮮明に甦る・・・

 あれは中2の春頃だったか・・・、いつものように図書室で本を読んでいた友香。そこへ
「あなた、その本・・・好きなの?」
と声を掛けてくる女の子がいた。
「う、うん・・・ そうだけど」と言うと
「本当!? 私もね、この本好きなの。この本って・・・・・」
「うんうん! そうそう、そこがね。あとね・・・・」
といった一冊の本からの出会い・・・
 それからあたし達が親友になるのには時間はかからなかった。それまでは読書ばかりで友達らしい友達もできていなかったあたしにとって舞ちゃんはかけがえのない親友だった。

 その舞ちゃんが今はいない。
舞ちゃん・・・会いたい。寂しいよ・・・」
と弱音を吐いてしまった。いけないと思い、再び歩き始めると・・・目の前には人が!?
 舞ちゃん!??
と思い、目を凝らしてみたがそこにいたのは、いかにも暗そうな女性・・・不登校気味だった真中 冥(女子15番)が立っていた。

 恐ろしくなって、逃げ出そうとすると、
「ま、待って・・・・お、お願い・・・・」
と言ったか細い声が聞こえてきた。
「あ、あたし・・・・こ、怖いの・・・・お、お願い・・・・一人にしないで・・・・」
 か細くせつない助けを求める声。
 ああ、この人もあたしと同じなのかなと思い、真中さんに近づいていった。
「大丈夫よ。あたしは敵じゃないから・・・」
「あ、ありがとぅ・・・・」
と言って俯いてしまった。

「あ、あの・・・」
「え?」
 真中さんは問いかけてきた。
「あなたの武器は何だった・・のですか・・・?」
と言われて、あ・・・あたし、舞ちゃんを探すのに夢中で全然デイパックの中身見てなかったわ・・・と思った。
「そういえば、見るの忘れてたわ。ちょっと待ってね」
といってバッグの中身を探り出した。

 え〜と、どこだっけ。
「いいわ、あたしが探すから」
とはっきりとした口調で真中さんが言った。そしてあたしの頭に強い衝撃が走った。

 グシャ、
 真中 冥の支給武器『ヌンチャク』が友香の後頭部に見事にヒットした。そしてそのまま友香の体を押し倒し、後頭部をヌンチャクで滅多打ちにした。

 グシャゴキャメキャグシャバキ!

「あははははハハはハはははハハハはぁ!!!」
両足で両腕を押さえつけていたため、友香の攻撃をガードすることをできず(そもそも最初の一撃で脳震盪気味になっていたので力も入らない状態であったが・・・・)、なすがまま殴られ続けた・・・・

 そして3分後、友香の後頭部は見るも無残なくらいぐちゃぐちゃになっていた。なにせずっとはヌンチャクを振り回していたのである。

「アハ、ハァ・・、あはハハハは、ハァ・・、ハァ・・」
 なんだ、いつも排除するゴミを殺すのと何の違いもないじゃないのよ。簡単だわ・・アハハハハ。

 その死体を見ながら、は自分の手についた血をぬぐった。そして友香のデイパックを探り始めた。
 さて、この子の武器はっと・・・、銃が欲しいな。・・・ん? 何これ? 説明書は? ・・・・アハ、これ最高! いいもの拾ったわ!
と自分の戦利品に満足して、とっとと引き上げていった・・・

【女子3番井口 友香 死亡】

【残り・・・37名】
                           
                           


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