BATTLE ROYALE
死線の先の終末(DEAD END FINALE


9:残虐の淑女

 赤平 吉平(男子1番)はひたすら走っていた。
 とにかくどこでもよかった。この悪夢が抜け出せるならどこへでも走っていけた。

 いわゆる「オタク」の部類に入る吉平がここまで走れるのは、火事場の馬鹿力ってやつだろう。
「ハァ・・・ハァ・・・・ハァ・・・ンハァ!」
 しかし日頃の運動不足で、そろそろ限界を迎えた。そこでそこらにある樹に乗っかって休むことにした。ここまでくれば、そう簡単には追ってこれないだろう・・・と思ったからだ。そしてデイパックから水を取り出し、一気飲みし出した。
「ング・・・ング・・・ぶはぁ、うまいなぁ」
 そう思ったが再び、不安がよぎった。

 プログラムかぁ・・・、なんでこんなのに巻き込まれちゃったんだろう。僕は家に帰って見たいアニメや漫画がたくさんあるのになぁ・・・
 そういった想像に結構時間を裂いていた。吉平は、考え出すと何時間でもその場で考え出す性格なのだ。

 そしてしばらく休み、気分も落ち着いたところで、改めてデイパックの中身を探り出した。生き残るために必要な「武器」を探していたのだが、なかなか見つからない。
 すると下のほうになにか小さいものがあった。
「な・・・『ジッポライター』? こんなのでどうやって戦えっていうんだよ!?」
 どうやら、吉平が引いたのはハズレ、のようだ。

 あ〜あ、ついてないなぁ、クソ! そういえば、家出るとき見たTVの占い、僕の星座最下位だったような・・・
 そういった考えで身を任せていると、前の草むらがふいに動いたような気がした。
 なんだ? と思った瞬間。

 パラララララララララ!!!!

 まるで安物のタイプライターのような音が響き渡った。そして、一瞬で赤平 吉平の体に無数の穴が出現した。
「ぁ・・・・ぁぁ・・・・」
 全身がすさまじい激痛に襲われる中で、自分に近づいてくる相手を見た。
 吉平が見たその顔立ちはまるで純白の天使のようだった・・・

 能登 刹那(女子13番)は瀕死の吉平に近づき、自分の支給武器『イングラムM11A1』の弾を顔面にくれてやった。

 パラララララララ!!

 再び、響き渡る銃声。吉平の顔はもはや、原型を留めていなかった・・・・。
男子1番赤平 吉平 死亡】

「悪いわね、赤平君。でもキミ、キモいのよね・・・」
と言い、吉平の持っていたジッポライターを拾い、デイパックの食料と水を持ち、自分のバックに詰め込んだ。
 こんなオタクの口付けした水なんか欲しくないけど、贅沢はいってられないわね。
 そんな冷酷なことを考えながら次の獲物を探すことにした・・・・  

【残り・・・38名】
                           
                           


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