BATTLE
ROYALE
〜 死線の先の終末(DEAD END FINALE) 〜
8:金色の狂戦士
廃校で恐怖が来訪していた頃、スタート地点より少し東にある草むらで、小澤 奈美(女子7番)は恐怖に打ち震えていた。
奈美は至って普通の女の子だった。
少しおとなしい部分もあったが、普通の中学生活も送っていた。特に親しいという友達はいなかったが、家島 舞(女子2番)や井口 友香(女子3番)とは、学校の中では一緒にいたりもした。
だが、普通の付き合いゆえに、このクラスで本当に信頼できる者など皆無であった。
プログラムの説明を聞いた瞬間、全員が殺人鬼に見えた。みんな、瞳のなかに自分に対する殺意を一方的に感じたのである。
あたしは死ぬんだ、殺されるんだ・・・・、いや、死にたくない! 死にたくない!! 死にたくない!!!
そう言って、自分の番になるとすぐに走って、ここまで来たのだ。
そして、そのまま迫り来るみえない殺人者に恐怖して動けなくなってしまったのである。
その間、デイパックの中を調べてみたが、武器らしいものはなく小さな『小瓶』を見つけた。最初はお薬かなと思ったが、説明書を見た瞬間、血の気がひいた。
そして気づいた。私たちは本当にここで殺し合いをするんだ・・・・
その事実にまた、怯えてしまった。
私は死にたくない、でも誰も殺したくないよぅ・・・、お母さん、お父さん、姉さん、助けてよぅ・・・
そう言って泣いている奈美の後ろからガザッと音が鳴った。だが奈美が気がついていないようだったが、そこに居た人物はわざと声を掛けた。
「ハイ! ソコノ人!」
ビク! っと奈美の体が跳ねた。
「ヒィィィィィ!」
と奈美は後ろに下がった。
そこに居たのは、金髪の背が高い男・・・、「転校生」デビット=清水(男子19番)だった。
「オゥ、脅エナイデ〜」
とデビットは優しい言葉を掛けた。その言葉を聞いた奈美は少し安心した。
あ、この人はいい人なのかも・・
しかし次の言葉で再び恐怖のどん底に落とされた。
「チャント苦シマナイヨウニ、殺シテアゲマスヨ!」
そしていきなり右腕に持っていたナイフを奈美の腹部に刺してきたのだ!
「ぐは・・か・・・・はぁ・・・」
く、苦しい・・・
デビットの奇襲は皮肉にも、さきほどの宣告とは裏腹に致命傷にはなっていなかった。
「オゥ〜、ハズシマシタカ、ソレジャ次ハ確実ニ心臓ニ刺シテアゲマスヨ!」
デビットのその一撃は、確実に奈美の心臓に深く突き刺さった。
もちろん、奈美はその場で絶命していた。その表情は恐怖に歪んでいた。
【女子7番小澤 奈美 死亡】
「フフフフフ、ヤッパリ戦場ハイイデスナ」
死体を見て、そう呟き、満足したのか奈美のデイパックを調べ始めた。食料と水はとりあえず確保したところで、例の『小瓶』を発見した。
最初はデビットも「?」と感じていたが、説明書を見てニヤリと、顔を歪めた。
「ホホゥ、コレハ私ノ武器ト合イソウダ」
ククククと笑いながら、奈美の死体を一瞥もせず、その場を後にした・・・
【残り・・・39名】