BATTLE
ROYALE
〜 死線の先の終末(DEAD END FINALE) 〜
7:恐怖、来訪!
森はとりあえず転校生以外の生徒を全員送り出した。そして今回のメインディッシュの3人を送り出すことにした。
「よし、それじゃあ今回の優勝候補たちの番だな、男子19番デビット=清水!」
「ハイ!」
とちょっと外国人風に返事をした。
「頼むぞ〜、私はお前に賭けてるのだからな!」
と言うと、デビットは親指を立て、「任せろ」といわんばかりのポーズを取った。
そして2分後、
「よし、女子20番浪瀬 真央!」
「は〜〜い♪」
と言った明るい口調で返事をした。
「殺る気マンマンだな!」
と森が言うと、浪瀬は満面の笑みを浮かべた。
そして2分後、
「よし最後だな、男子20番本条 龍彦!」
「・・・はい」
かなりダルそうに返事をした。
「まぁ、お前が簡単に殺されることはないと思うが頑張れよ」
と励ましの言葉に、フッと余裕の笑みを浮かべていた。
そして全員送り出したあと、近くにあった椅子に座って、
「ふ〜、やっと休めるか」
と言った。すると近くの兵士が
「教官はデビットに賭けているのでありますか?」
と聞いてきた。賭けている・・・というのは、いつも行われているお偉いさんによるプログラム賭博のことである。要は最後に残るは誰かを当てる博打だ。
「そうだよ。なんといっても『ハーフブラッディ』の候補生だからなぁ。本条もいい線行くとは思うんだけどなぁ。君は誰が残ると思う」
と森は兵士に聞いた。
「自分は本条だと思います。なんといっても自分たちと同じ所属ですから」
と言った。
「ふむ、妥当な線だな。君なんかはどう思う?」
と言われて別の兵士に聞いた。
「自分は浪瀬あたりなどが残るかと・・・ なにせ自分は「あの事件」を聞いていますから」
「なるほどなぁ。浪瀬も特別だからなあ。他には?」
と聞くと別の兵士が
「自分は男子17番の李 小龍だと。戦闘能力では優勝候補筆頭ですから」
「だろ〜な。武器なしなら李が残るだろうがなぁ」
「自分は能登かと。性格面での残虐性が見られますし」
「あいつも間違いなくやる気だろうだからなぁ。まあ、こんなところかな」
と言った瞬間、教室のドアがガラッと開いた。みんなが目を一斉に見やると、なんとそこには出発したはずのある生徒がいた。
「貴様!」
「なぜここに!!」
と兵士が一斉に銃を向ける。森がそれを静止して喋りだした。
「だめじゃないか、ここにいちゃあ。下の兵士はどうしたんだ?」
と問いかけると、
「2人には少し気絶してもらった。少々用があるもので」
と言った。
「ほほぅ、でも用といっても君の命はあと30秒もないけどな。先生の話、聞いていなかった? 1時間後にはここが禁止エリアだってこと」
森の言うとおり、もう少しでここも禁止エリアに入る。
「あ〜あ、できれば参加して欲しかったんだけど、まあいいや。バイバイ」
といって、時間になった。
・・・・しかし首輪は反応を示さない。
「な・・・、なぜだ!?」
「簡単なことだ。解除コードを打ったからさ」
「馬鹿な! 解除コードは一部の人間しか知らないはず・・・・貴様、何者だ!」
と森は狼狽しながら銃を抜いた。
「フ・・・、ブレイド・ウルフと言えば・・・わかるか?」
その言葉を聞き、森をはじめ兵士に緊張が走った。
「ば・・・馬鹿な。ブレイド・ウルフは2年前に・・・」
「戦死した。そういう記録になっているがな。『ロイヤルガード』に入るためにそういうことにしたのだ」
そういって森はさらに驚いた。兵士たちにはわからなかったが、森はそのことに驚愕した。
「信じられないのも無理はない。私のバックを調べてみろ。納得するはずだ。森 滋郎少佐」
自分の階級まで当てられて、兵士に指示を送り、バックを持ってこさせた。すると中から、
「こ・・・これは、中将の階級証!?」
ざわっと兵士たちが騒いだ。中将といえば、自分たちより雲の上の御方だ。
「し、失礼しました!」
「うむ。それで、ここに戻ってきた理由だが、私のバックにある黒いケースを渡してもらいたい」
「は? し、しかしプログラムの原則では・・・」
と森は言葉を濁した。
「これは総統閣下の特別許可を貰った命令だ。それでもか?」
といって森に書類を渡す。
「ま、まさに。おい! 中将閣下にこの黒いケースを渡せ!」
ハッ! といって、兵士が黒いケースを手渡す。すると男はケースを開けてなにやら組み立ての作業に入った、剣の柄と鞘のようなものが入っており、それを留め金のようなところでしっかりと固定すると、なんと刀剣ができあがった。
「まさか、それがあの『紫電』なのですか?」
「そうだ」
軍に伝わる刃狼伝説・・・、それが今目の前にいることに感じるのは感激ではなく、恐怖であった。
「では私も、プログラムに正式参加する。これは通信機だ。時々連絡をとる。ここの禁止エリア内を出たら再び首輪を作動させる」
そういって、バックに入ってあった通信機を渡した。
「はい!!」
「では・・・」
といって男は再び、廃校の外に出て行った。
恐怖が過ぎ去ったあと、
「教官・・・、あの」
「今回の賭けは負けだな・・・ あんな怪物が居たのではな・・・」
と森は冷や汗をかいていた。そして言い放った。
「今回の生徒は不運だな」
【残り・・・40名】