BATTLE ROYALE
死線の先の終末(DEAD END FINALE


前半戦

6:おもわぬ襲撃

 クラスの半分ちかくの人数がすでに呼ばれ、ついに俺の番まで回ってきた。
「次、男子10番遠山 慶司!」
「ハイ」と返事をし、兵士からデイパックを受けとった。

 その後、ダッシュで廃校を抜けて、外にでた。外は森が覆い茂っている中にちょっとした林道がある景色が広がっていた。
 そこで俺は森の中に入り、まずは健吾武士が出てくるのを待つと共に、自分のバックの中身を確かめようとした。

 が、次の瞬間、パァンという軽い破裂音とともに俺のバッグに穴が開いた。

 な!?
と思い、音のしたところを振り向いてみると、なんとそこには銃を構えて、明らかに正気とは思えない顔つきの秋文 将(男子2番)がいた。
秋文!?」
と言ったが、秋文はすでに狂っていたのかもしれない。
「コ、コ、こここ、殺してヤる!」
といって、再び引き金を引いたのだ。俺はとっさに銃口から外れるように避けた。

 再び、パァン! という音が鳴り響く。そして俺がいた地面が弾かれる。

 殺される!!

 その考えが脳裏に浮かび、手に持ったデイパックを握って、すばやく逃げた。
 とにかく、こいつから離れなければ! 殺される!! いやだ、死にたくない!
 恐怖が俺の体を支配し、足が勝手に動いた。そのまま森の中を疾走していった。
 その後、もう一回パァンという音が鳴ったが、慶司の耳には入っていなかった。


「く、くそぅ!!」
 秋文 将は、遠山を逃がしたことに悔しい気持ちでいっぱいだった。

 冗談じゃない、完全に不意打ちだったんだぞ。こんなんじゃあ、本当の標的のときはどうするんだよ、

 彼のいう本当の標的とは、陸奥 海(男子15番)を筆頭にする不良グループだ。
 このグループに秋文はいじめられていたのである。パシリ、カツアゲ、いたずら、誹謗中傷など3年になってから、陸奥たち秋文をターゲットにして様々ないじめを繰り返していた。
 ただでさえ、特定の友達がいない秋文に加え、陸奥たちはこの学校の裏を実質取り仕切るグループ。誰も助けてもらえず、ただ泣き寝入りする屈辱の毎日だった。

 そして夏休みに入る直前、このプログラムに巻き込まれたのだ。
 そして、このプログラムの説明を森先生から聞いたとき、は真っ先に陸奥たちへの復讐を思い立った。そしてそのついでに、自分を見捨てたクラスの人間も殺してやると思ったのである。

 そして、運がいいのか、彼の支給された武器は『コルトトルーパーMkV』リボルバー式の拳銃である。
 そうか、これは神さまが僕に、復讐の機会を授けてくださったんだな。こいつで、陸奥たちや僕を見殺しにしたクラスのやつらを皆殺しにしてやる!

 しかし、そう決心したものの、引き金を引く覚悟ができず、何人も素通りさせ、狩谷久慈椎名といった本当の標的をも逃してしまったのである。そして遠山が、わざわざ自分の潜伏している森の近くに来たので、ついに発砲したわけである。
「どうする、どうする! 今の音で完全に位置がバレたかもしれない。やっぱり移動するべきか!? 陸奥を殺ってから行くべきか? ・・・いや、危険だ。早くここから離れよう!!」
 恐怖心のほうが勝り、一旦この場から離れることにしたのであった。


 慶司が出発してすぐにパァン、という音が聞こえた。那節 健吾(男子11番)は気が気でなかった。
 慶司、殺されてないよな・・・? 祈るような気持ちであった。
「ほほぅ、もう戦闘が始まったか。今回の生徒は真面目で嬉しいぞ!」
 のいやに大きい声が部屋中に響く。

 お前らの好きなようにはならないよ・・・先生健吾は心の中でそう思っていた。そして、親友の御手洗 武士(男子14番)のほうを見た。

 兵士から紙が配られたあと健吾武士は密かに、打ち合わせをしていた。〔3人が合流したあと、亜希子のところへ合流しよう〕というのが、武士の提案だった。しかし慶司は、さっきの騒ぎで健吾武士とは離れた位置におり、その計画を伝えられずにいた。
 そこで近くで待っているだろう慶司をまずは健吾が連れ出し、2人が約束した「合流ポイント」で落ち合う。そしてそれから美津さんたちのグループが集まっているだろうポイントに合流するというプランを立てた。

 だから早く出発したかった。
「え〜と次、男子11番那節 健吾!」
「ハイ!!」
 待ちわびた順番に気合が入った返事をした。
「気合が入ってるな〜。がんばれよ!」
 フン、その顔いずれ後悔の表情に変えてやる!
と思い、デイパックを持ち廃校を出る。一応森の中も探してみたが、結局見つからなかった。
慶司・・・、どこ行ったんだよ」
 幸い、武士とは打ち合わせで合流ポイントは決めてある。そう思い、健吾は親友・慶司を探すことにした・・・

【残り・・・40名】
                           
                           


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