BATTLE
ROYALE
〜 死線の先の終末(DEAD END FINALE) 〜
12:少女たちの砦
その頃、H−1のポイントでの公民館では、少女たちが集まっていた。
結束を高めて自らの、そしてみんなの身を守ろうとしていた。そう、慶司の親友・御手洗 武士(男子14番)の彼女、美津 亜希子(女子19番)を筆頭とする女子グループたちである。
現在、亜希子は公民館の2階におり、休憩もかねて2階からの見張りをしている。
そばには、旭 千歳(女子1番)もいる。そして、1階には大塚 真澄(女子4番)・玉野 笑美(女子10番)が『レーダー』で監視を行っており、外では菊原 蘭(女子6番)、長川 千里(女子12番)が周囲を警戒している。
時は兵士にペンと紙を配られたときにさかのぼるが、亜希子はまずこの計画を周囲にいたこのメンバー全員にメモとして手渡した。幸いポケットにメモ帳があったので不自然に破くこともなかった。
そして彼氏の武士にも渡したところ、「遠山君と那節君と合流してから行く」との返事をもらい、それに了解した。
あの3人と私たちが力をあわせれば、きっとこの絶望的な状況から抜け出せる・・・
そう思ったからだ。特に、武士は抜群に頭が切れ、頼りになる自慢の彼氏であった。海音寺中学校サッカー部で遠山君と那節君のFWツートップに並んで、芸術的なパスをだす天才MFとして有名だったのが武士であった。
中1のとき、武士と同じクラスになり、それがきっかけで友達になり、サッカーをしている武士を見て、友達ではなく男として見ている自分に気づいたのが中2の夏だった。
中学3年で3回目の同じクラスになった4月、私は武士に告白した。武士はすごく照れながらも、OKをしてくれた。私はその時の感激を忘れることはないだろう。
そして武士とは、友達から恋人に変わり、私の学校生活は恵まれていた。いい友達に恵まれ、愛する人がそばにいる・・・
それなのに、今は地獄にいる。そう、最後の一人になるまで殺し合うこの地獄のようなゲームに・・・
「・・・子、亜き・・、亜希子!」そう言われて、ハッと我に返った。
「ちょっと亜希子。大丈夫?」
「う・・うん。大丈夫よ! ちょっと考え事してただけよ」
「そう、よかった・・・ まぁ、気が滅入るのもわかるけど、御手洗君たちが来るまでの辛抱よ。」そういって千歳が励ましてくれる。
「うん・・・、ありがと」
私は本当に友達に恵まれていると思う。ちょっとおせっかい焼きだけど私を励ましてくれる千歳、元気いっぱいの真澄、本当に笑顔が絶えない笑美、ちょっと感情表現が乏しいけど動物大好きな蘭、気が強いけどみんなを守ってくれる千里・・・そして風花。
亜希子は、いまだこの場所に来ていない黛 風花(女子17番)のことを心配していた。ちょっと小柄な普通な女の子。でも人一倍心優しい女の子。そして、一人の男の子に恋をする女の子・・・
風花、死んじゃダメ。あなたは、あの人に思いを伝えるんでしょう? だから・・・、だから無事でいて! 亜希子は儚い願いを天に祈った。
そして、脱出を夢みる少女たちに、ある一匹の狼が近づこうとしていた・・・
【残り・・・36名】