BATTLE
ROYALE
〜 死線の先の終末(DEAD END FINALE) 〜
19:爆音に咲く花
能登 刹那(女子13番)は、目の前の松浦 英理(女子16番)を発見すると、何のためらいもなく自分のイングラムの引き金を引いた。
パララララララララ!!!!!
しかし、手鏡で刹那の姿を発見した英理はとっさにそのイングラムの弾が発射する寸前に避け、近くの木に身を隠したのである。
自分のいた地面を見ると、土が弾かれていくのが見えた。
な・・・何よ!? あの女は! このアタシの美しい体に向かって発砲するだなんていい度胸じゃない!
そういって、自分のグレネードランチャーを手に持ち、イングラムの音がやむのを待った。
そして、パラララ・・・・と静寂が訪れた。
今だ!! 今度はこいつを食らえ!
と木の陰から出ると、さきほどまで自分に射撃を行っていた女に向かって、グレネードランチャーの引き金を引いた。
ボシュゥ!!
と軽い発射音と共に大きな弾が刹那の方に向かってきた。
こいつは・・・やばい!!
そう直感した刹那は自分の右手のほうに全力でダイヴした。そして・・・・、
ドカァァァァァァン!!!!!!
強烈な爆裂音と共に、すさまじい爆風が刹那を襲った。自分のいた場所を見ると、刹那のいた場所は見事に土がえぐられていた。
こいつの武器は・・危険だ!!
そう感じた刹那は再び英理に向かってイングラムを撃ち始めた。
パラララララ!!!
それを予期していたのか、英理は再び木に隠れた。そして自分の武器に驚愕していた。
こ、これ、すごいじゃない! これなら優勝はアタシに間違いないわ!
と驚きと喜びが入り混じっていた。
あの女・・・、確か能登 刹那・・・ね。問答無用、極悪非道で先生からもマークされていた女ね。あんなゴミ相手にアタシが手を煩わせるまでもないけど・・・、
感謝しなさい。あなたは優勝者になるこのアタシの手で殺されるのだから!
再びイングラムの音が止む。刹那は最初の時は意識的に射撃を止めたのだが、今度は弾切れになってしまった。
しまった! と思い、相手の動きに全神経を尖らせる。
すると、案の定英理は姿を出し、グレネードランチャーを撃ってきた。
ボシュゥ!! という音と共に戦慄の弾丸が再び刹那に向かって飛んでくる。刹那は今度は左手のほうにダッシュでダイヴした。
ドカァァアァァァン!!!!
なんとか今回も避けることができた。でも何回も避けれるものではない。
そう判断した刹那はイングラムの装填をしながら、最強の武器を持つこの女を倒す方法を考えていた。そして、
「・・・!」と何か思いついたようにニヤリと笑うと、再び威嚇のために装填を完了したイングラムを撃ち始めた。
パラララララ!!!
と再び軽いマシンガン音が響き渡る。イングラムの弾を避けるために木陰に隠れていた英理もこの膠着状態にイラついていた。
「くそ! あの女、意外とすばやいわね。」
グレネードランチャーは確かに最強の武器であったが装弾数が一発だけである。予備の弾はたくさんあったが、いかんせん装填に時間がかかる分、刹那のイングラムを撃たせる隙を作るのであった。
こうなったら危険だけどもっと近くで撃つしかないわね・・・・
そう思った瞬間、イングラムの音が止んだ。
今だ!
そう思い、顔を出す瞬間、刹那は何かをこちらに下手投げで投げてきた。何? と思った瞬間、イングラムの音が鳴り響く。
パラララララ!!!
「くっ! あの女騙したわね!」
再び英理は木の陰に隠れる。
つまりアタシが投げたものに気を取られている隙に殺そうってわけ。でもアタシはそんな手には引っかからないわよ!
そう思っていると、上から
バリィン!
という音が聞こえてきた。バシャァっとその辺の草に何かがかかる。英理の服にもなにかがかかった。
な・・・何!? これは? と英理は匂いを嗅ぐ。
これは・・・・灯油!!?
(実は廃校周辺にあった灯油缶から刹那は瓶に補充して持っていたのだ!)と思った瞬間、イングラムの音が止むやいなや、刹那はまた別なものをこちらに投げていた。
それはまさしく、殺した赤平 吉平(男子1番)から奪った『ジッポライター』だった。しかもそのジッポは着火したままの状態だった。
ま、まさか!! そう思ったときには、すでに灯油をかぶった草むらにジッポは到達して、またたく間に引火した。
ボゥ!!
火の手があがる。
自分の服にも灯油が・・・!? そう思い慌てた英理はその火の手から逃れようとした。
しかし、刹那はその瞬間を待っていた。まんまと罠にかかり、出てきた的に容赦なくイングラムの弾をぶち込んだ!
パラララララララ!!!
正確な判断を失った英理にマシンガンの銃弾がよけられるはずもなく、体に無数の穴が開いた。
「ギャア!!!!」
その体にマシンガンの弾を受けて倒れると共に、英理はその美しい容姿とはかけ離れた醜い叫び声を上げた。
もう英理は立つこともできないほどの重傷を負っていた。
そしてゆっくりと、刹那は英理に近づく。英理は刹那を見た。その穏やかな表情から、まるで天使のように見えた。
奇跡的に顔には一切の傷を負っていなかった英理はその美貌を見せびらかすように懇願した。
「お・・お願い・・・ たすけて・・・・ かお・・・傷つけないで・・・・」
そう言うと刹那は
「松浦さん。僕、前からキミに言いたいことがあったの」
そういうと、英理の顔にイングラムを向けた。そして・・・
パラララ!!!
イングラムの銃口が火を噴き、英理の美しい顔を見るも無残に潰した。そしてこういい切った。
「キミ・・・、ウザイ」
その後、英理のグレネードランチャーとデイパックを奪い、火の手が強くなる前にその場をあとにした・・・・
【女子16番松浦 英理 死亡】
「森教官!! G−8地点で出火です!」
そう言う兵士に森も答えた。
「ふむ。おそらく松浦と能登との戦闘でどちらかが火を使ったんだろうな。こちらを撹乱・・というわけではあるまい」
こう言い森は続けた。
「しかし放っておけば山火事になりかねん。至急、軍のヘリで空から消火に当たれ! 下からだと生徒との殺し合いに水を差しかねんからな!」
森の的確な指示に兵士はすぐに行動を開始した。しかし・・・、
能登の装備を見て森は言った。
「能登の奴、かなりの重装備になったな・・・ まだまだ楽しませてくれそうだ」
そう言い、高らかに笑った。
【残り・・・29名】