BATTLE
ROYALE
〜 死線の先の終末(DEAD END FINALE) 〜
31:バーサーカー降臨
「じゅ・・・ジュン・・・?」
目の前の光景に一瞬思考がついていかなかったが、久慈 雅人(男子6番)はすぐに我に返った。そして銃撃に備えた。
ち・・・ちくしょう・・・ちくしょう・・!! どこだ・・・どこにいやがる!!
雅人は自分のデイパックを手元に置き、襲撃者に警戒した。
「カイーー!! 無事かーー! 無事なら返事してくれーー!」
だが海からも返事がない。
くそ・・・冗談じゃないぜ! 俺は・・・俺は生き残ってやるぞ! 死んでたまるか!
虎の威を狩る狐・・・、まさしく雅人にぴったりな言葉であった。
ハッタリでこの世界を生きていた雅人・・・、中学に入ってからは入学してからすぐに海音寺中学校のトップに立った陸奥 海(男子15番)に近づいた。
海の受けはよく、機嫌をとる術にたけていた雅人は問題なく海に取り入った。そして海の権威を3年間、借りる形でずっと振るい続けていたのである。
だがこの悪夢はなんだ? 俺のすぐそばにはヒデの死体、
表にはジュンの死体、何の因果でこんな地獄に俺はいるんだ。
いやだ! 俺は生き残るんだ。生き残ってまだやることはたくさんある。
街で遊んで、ダチと悪ふざけして、女作って、仲間と笑いあう。そんな生活が待ってるんだ。
死んでたまるか! 死んでしんでシンデ・・・・!
とその時、後ろからヒヤリとした感覚がした。何かを押し付けられている。
う、ウソだろ!? なんで俺の後ろに敵が・・・!
後悔したときはすでに遅かった。後ろに静かに立っている人物はこういった。
「Good bye!」
ドォン!!!
雅人の頭は後ろから弾け飛んだ! 雅人の表情を伺うことはもう不可能に近かった・・・
【男子6番久慈 雅人 死亡】
「フフ・・・、敵ハ外カラ来ルトハ限リマセンヨ?」
金髪をなびかせ、そう言い放つのは転校生・デビット=清水(男子19番)であった。その手には深矢 萌子(女子14番)を殺した際に奪ったデザートイーグルが握られていた。
そしてデビットは雅人の死体を見た。デザートイーグルを零距離でぶっ放したため、頭には派手な空洞が空いていた。
実はデビットは萌子殺害後、さらなる獲物を探そうとさきほど萌子とやりあったであろう相手を探して橋を渡り、森を探していたのである。
だがその相手・・・遠山たちはすでに別なところに移っており、しかたないので人が集まりそうな近場・・・、学校を選んだのである。近くで観察してみると案の定、集団で人がいた。だが人数が多いのでとりあえず密かに校内の2階に侵入して夜を待つつもりだった。
しかし先ほどの襲撃で下の集団が分散したのを見て、好機と思い、何の警戒もなく飛び出してきた椎名 潤一郎(男子8番)を2階から狙撃して殺害。その後、静かに雅人の後ろに回りこんで殺害したわけである。
「コレデ銃ハ2丁デスカ・・・」
雅人の銃とデイパックを持つ。その瞬間、何か嫌な予感がして身をしゃがめた。
バララララララ!!!
いきなり銃弾のシャワーが浴びせられた。身を隠したおかげでなんとか回避できたが、容赦ないマシンガンの攻撃は続いている。
「ナルホド・・・UZIデスカ・・」
専守防衛軍に所属して銃火器の特別的な講習を受けたデビットは銃音でそう判断した。
さすがに・・・マシンガンが相手では荷が重過ぎますね・・・
デビットは思考をまとめると、マシンガンの雨の中、校舎の裏手から脱出した・・・ もちろん、気づかれることもなく・・・
その10分後、ようやく相手がいないことに気づいた海は校舎に近づき、自分がマシンガンを打ち込んだ部屋を覗き込んだ。そこには頭を潰された雅人とこめかみを貫かれた狩谷 英寿(男子5番)が横たわっていた。そして、開口一番。
「ち! どいつもこいつも役立たずだな・・・ せめて俺の盾になって死ぬくらいしろよ・・・ しかもマサトの奴、拳銃奪われてるじゃねぇか! ほんっと、役立たずな馬鹿どもだぜ!」
さきほどまで雅人が持っていたトカレフがないことに気がつくと、さんざんに毒づいた。
海は始めからこいつらと一緒に脱出するなんてことは考えていなかった。強いやつと遭遇したときの身代わり、または盾や囮などになればいいなぁと思っていた。
だが結果的には海に何の利益ももたらさないまま犬死したのである。海がイラつくのはその点であった。
「フン・・・、まあいい。この銃があれば、よっぽどのことがない限りこっちが有利だぜ」
と言ってさきほど連射していたUZIを見つめた。
直接的な攻撃力ではグレネードランチャーが上だが、総合的に見ると現在存在するUZI、イングラム、スコーピオンの3つのサブマシンガンは最強クラスの武器である。その一つを海は所持しているのである。
「しかし、ここがバレたのが厄介だな・・・ しかたねぇ、移動するか」
といって、死体の英寿と潤一郎からアイスピックとバタフライナイフを取ると、秋文のバックに詰め込み、その場を後にした・・・ ここにも一人、やる気の生徒が誕生したのである・・・
【残り・・・20名】