美奈子のひとりごと
〜 あとがきと解説 〜


第三部 中盤戦

19

奈津美と勇一の相談シーン。
プログラムの下で誰を信用するかは死活問題になります。
ゲームに乗らないものが、全て仲間としてふさわしいわけではありません。
このあたり、まだ奈津美の思考はプログラムに順応できていません。

20

最初の放送シーンです。
流石の奈津美も猛の死を確認したショックは計り知れません。
おかげで、禁止エリアを聞き逃してしまいますが、冷静な勇一に救われます。
さあ、会いたいメンバーに会えるでしょうか・・・

21

水中脱出で冷や汗をかいた政府のストーリーです。
奈々は心ならずも政府を助けてしまいました。
さらに、トトカルチョも・・・
変わった理由で選んでいる兵士がいましたが、家族に似た生徒がいれば、生き残らせたいのも当然かもしれません。
ちなみに「原田」は、無論原作の兵士「田原」にちなんでいます。

22

いじめに苦しんでいた少女。
強くなろうとした行為は逆効果でした。
歪んだ心が生み出す復讐心。
それでも、唯一優しかった彩香の命は奪えませんでした。
銃を入手した弥生の運命は・・・

23

委員長、はる奈の登場です。
何とか全員を助けたいのがはる奈の希望ですが、既に10人以上が消えた後。
それでも、必死に策を練っています。
この場で追い払った紀広さえも、最終的には助けたいと思っています。
ただ、稔が来ないと実現しないと言うのが問題です。
おまけに、この策には欠陥があります。
それによって、はる奈が散ることはありませんが。

24

不良同士、どこか通じ合うところのあった伸也と里江。
しかし、この修羅場で考えたことは、決して相容れない内容。
さらに里江はとてつもない提案を。
仲間を失った上に、愛まで無くした伸也は・・・

25

能力的にはトップクラスの美咲ですが、父の影響が強すぎて行動に迷いがあります。
幼女期から洗脳(?)されていなければ、脱出組の旗頭になったかもしれません。
クールな性格は、他の生徒には信用してもらえないかもしれませんけどね。

敵兵ではない自国民、それもクラスメートと戦う気にもなれず・・・
といっても、犬死はしたくない。
結局、原作の千草さんのタイプになってしまいました。

26

弥生にとっての美咲は、最も倒したいタイプでしょう。
が、相手が悪すぎました。
自分と相手の能力差を自覚できていません。
酷評すれば、桐山君に突撃した稲田さんのようなものです。
それでも美咲は、助かるチャンスを与えたのですが弥生は無駄にしてしまいました。
そもそも、頭の良い美咲がマシンガン無しの勝負を受けたのを不自然に思わなかった時点で、弥生の負け。
自分の腕を過信していたのも命取りになってます。

27

表面上は怜花を主人公にしてますが、真の主役はもちろん竜太郎です。
が、このストーリーは怜花の視点の方が面白そうに思えたので主役を替えてみました。

竜太郎が採石場で何をしていたか。
カンの良い方ならおわかりでしょうが、明かされるのは随分先になりますので、ご容赦を。

28

奈津美と猛の亡骸の対面および2回目の放送です。
とにかく、奈津紀に託されたことだけは果たすことができたようです。

明らかに不自然な禁止エリア。
奈津美の政府に対する憎悪の念がワンランクアップしてしまいました。

29

脱出不可能と思っていた会場で、使えそうなヘリコプターを見つけた喜び。
危険とわかってはいても、極限状態では思わず飛びついてしまうでしょう。
それが政府の狙いです。
2人は見事に嵌ってしまいました。
ちなみに、彩香は僅か数百メートル離れた場所に倒れているので、貴之が必死で探せば発見できたかも・・・

このシーンを見届ける役は、原案では奈津美と勇一だったのですが、この2人が市街地を彷徨っているのは不自然になりますので、陽介・智子のカップルに演じてもらいました。

30

このシーン、原案では原作の山本君と小川さんのシーンと同様に北の岬でした。
が、前話の都合で2人はビルの屋上に来てしまったので、場所を変更しました。
ヘリコプターの爆発を目の当たりにしたことによって、智子の精神状態は大きく変化します。
僅かに残っていた希望を無くした智子の決意。自らは退場したくない陽介。
陽介は断腸の思いで、恋人を裏切ります。

設定変更したことで、智子の精神状態の変化が表現しやすくなり、結果的には成功だったかなと思ってます。
智子の死を背負った陽介は・・・

31

禁止エリアの放送を聞き逃した恐怖。
一刻も早く禁止エリアを知るために仲間を探す必要があります。
しかし、見つけた相手は名うての不良。
仲間になるか逃げるか、苦悩の選択。
しかし、相手は意外にも優しかった。
彩香としては、ホッと一息です。

32

不本意ながら不良をしていたほのか。
この場で里江を始末して、脱出計画を練ろうとしています。
仲間を増やすには、彩香の存在は好都合。
が、現れたのは信用しがたい人物。
智子の無念を思い、ほのかの怒りが爆発します。
意外な言葉を残して立ち去った陽介。
実は彩香と貴之は両思い。
彩香としては泣くしかありません。

33

静香に妨害されたために竜太郎と合流できなかった稔。
会いたい相手を限定して探し回った挙句、見つけたものは・・・
禁止エリアでないのに首輪を爆破されている不思議。
稔の頭に浮かぶのは・・・

34

親の立場ゆえにプログラムとは無縁と信じていた修。
それゆえに、ショックは他の生徒以上かも。
それでも、何かの間違いと信じていたが・・・
よりどころを無くした修には、もう何も残っていません。
やむをえず現実逃避を始めましたが、この状況下では自殺行為でした。

35

竜太郎が落ち着いていた理由の紹介。
既に脱出方法の心得があるのですが、必要な仲間に会えません。

ちなみに、文書が竜太郎の手に渡る手順には苦労しました。
結局、このような形に・・・
政府も父の旧友までは調べないだろうと考えました。

また、琴弾公園は実在します。
香川在住の高見氏は、おそらく琴弾加代子の名前をこの公園から取ったものと思います。

36

不気味キャラ冴子の正体。
事前に自分の運命を知っている不幸。
それを幸運に変えようと努力しているのですがどうなりますか。
基本的に戦闘力が高いわけではありませんから。

結果的に言えば、奈津美たちがプログラムに選ばれたのは彼女のせいだとも言えます。

ちなみに、この予知夢。
あたしがオリバトを書こうと考えた時に、最初に浮かんだネタなのです。

37

奈津美と勇一は最後まで一緒にいると予想された方も多いのではないでしょうか。
原作の主人公カップル同様に、一旦引き裂いてみました。
主人公が負傷することも、マシンガン男に襲われて引き裂かれたことも原作のパクリ(汗)ですね。
1人になってしまった奈津美の運命は・・・

38

ゲームと現実を混同したのが不幸の始まり。
ゲームを楽しもうと思ってもそうはいきません。
さらに、性的欲求もからんで・・・

ちなみに、あゆみがしたことは実際に使える痴漢撃退法の1つです。
1話くらいはこんな話が混ざっててもいいですよね。

39

次の40話と対になる物語。構想の最初の段階から大筋が出来ていました。
プログラムにおいて、人を信用するかどうかは大きな問題です。
文規は全く人を信用しないことで生き残ろうとしました。
もし、美樹に支給されたアイテムが文規に支給されていたら、最後の2人になった時に必勝だったかも。
しかし、結末は無残なものでしたね。
その場になって、仲間を求めるという自分勝手な行為は通用しません。

40

一方、こちらは誰でも信用してしまった美樹。
お嬢様の仕掛けたつまらないトラップに嵌ってしまいました。
もう少し用心深ければ小石を投げつけてみるなどの手段で、身を守れたかもしれません。
いずれにせよ、極端はいけませんね。

ちなみにあのアイテム、原案ではただの藁人形だったのですが、書いているうちに実用品に変化してしまいました(笑)

41

戦いをする場合には、相手の実力を見極める必要があります。
しかし冴子は、クラスメートとの接触を避けていたために知識がありません。
結果的に冴子の策略は不正解だったようです。
もっとも元のクラスに留まっていても、優勝できた可能性は低いでしょうけれど。
ただ、冴子は運もなかったといえます。
出会ったのが、最強レベルのキャラばかりでしたから。
そもそもの始まりから不運なわけですし。

42

1人になってしまった奈津美。
既に勇一から充分に知識を貰っているので、ゲーム開始時よりレベルアップしています。
初期状態の奈津美なら討ち死にした可能性大でしょう。

お嬢様の仮面は非常に有効で、なかなか疑われません。
しかし、体力の低さはどうしようもないようです。
もう少し、力があれば勝てた戦いでした。
無論のこと静香に腕力があれば、奈津美も油断しなかったでしょうけど。

奈津美のように原則として誰も殺りたくないキャラには、モデルガンはいい武器かもしれません。
今回は、本物でなかったことが奈津美に幸いするストーリーになってます。

43

清吾の視点で書いてますが、内容的な主役は美咲です。
プログラム事態は愚劣なものだと思いながらも、生きることも死ぬことも国のためであるべきだと思い込んでいる美咲。
遊び感覚で乗っている者には無性に腹が立つようです。
洗脳(?)された清吾は、“まじめに”ゲームに乗ってしまいました。
結果的に美咲は、ゲームに乗ったものを1人増やしてしまったことになります。

44

自分が人気者だという大きな勘違いをしていた千恵。
単に利用されていただけだったようで、修羅場では誰も味方になってくれません。
しかも、最悪の相手に発見されてしまいました。
それでも、過去の恩に期待したのですが・・・

里江がほのかの情報を訊いたのは、単なる方便。
隠れている千恵がそんなことを知るはず無いのは先刻承知。
千恵に恩があった以上、殺す口実として訊いたにすぎません。

45

川渕の放送を聞くのは原則として主人公の仕事なのですが、ちょっと都合がありまして、今回はあゆみに聞いてもらいました。
あゆみも、ツイていないキャラの1人です。
彼氏には会えず、妙な相手にばかり遭ってしまいます。
今回も低レベルな策略にかかりそうになりましたが、何とか逃れました。

46

このストーリーは、誰の視点で書くか迷いました。
ほのかでも、彩香でも、はたまた清吾でもそれなりに書けるからです。
結局、一番演出効果が出そうなのは陽介と判断しました。

彼女を死なせた後悔の念を思い切りぶつけることによって、彩香を守ることが出来ました。
自力で清吾を倒せなかったのは無念でしょうが、どうやら天国で智子に絶交されることは免れそうです。

美咲の薫陶(?)を受けた清吾も不幸かも。
以前の清吾なら、ほのかの顔を見たら逃げ出したはずですから。

47

お嬢様戦士の静香、ついに沈没です。
最期の潔さは、プライドのなせる業でしょう。

無意味に殺戮をしているように見える里江にも、実は背負っているものがありました。
組織のボスとして生還する義務があるのです。
充分に鍛えていなければ、静香に大金星を献上したかもしれません。
潔い静香に感服する辺りは、戦士としての魂も持ち合わせているようです。

48

脱出方法を持っている竜太郎の退場は意外だったかもしれません。
はっきり言えば、原作の三村君の立場なのです。
脱出方法を用意して読者に期待をさせておいて、結局役立てることが出来ないわけです。
中盤戦の最後で消えるところも、原作に倣いました。
視点が怜花なので、戦闘としては単純にならざるを得なかったのが少し残念でした。

ただ、怜花に持たせたメモには意味があります。
ネタバレですが、首輪の外し方が書いてあるわけではありません。
1枚のメモ用紙に書けるような簡単なことではないのですから。

蛇足ですが、中盤戦終了時の残り人数が17人(男子7人・女子10人)なのも原作同様です。
半分は偶然なのですが。


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