美奈子のひとりごと
〜 あとがきと解説 〜


第四部 終盤戦

49

ついに勇一の正体を公開。
典子の弟は、原作では一言出てくるだけで年齢不詳。
漫画では一コマ出てきますが、かなり年少のようです。
そこで、坂持の娘と同学年でも不自然ではなかろうと考えて起用しました。
姉からプログラムの詳細を受け継ぎましたが、首輪の外し方だけは知らないわけです。

50

竜太郎が命を賭けて逃がした怜花。
しかし、傷は予想外に深かったようです。
片足を棺桶に突っ込んだ状態で巡り合ったのが勇一。
竜太郎に託された役割だけは果たすことが出来ました。
ちなみに、怜花は奈津美の勇一に対する想いを見抜いていたようです。

さて、竜太郎が怜花を介して勇一に託した内容は後に明らかにされます。

51

奈津美と美咲のディベート。
プログラムは間違っていると思いながらも、国に対する忠誠心が強いため板ばさみ状態の美咲。
迷いがある分だけ、奈津美に後れを取ったようです。
さて、美咲の心の鍵は開かれたのでしょうか。

奈津美も夢中になるあまり爆弾発言をしてしまいました。
人数が多い段階だったら、首輪を飛ばされたかもしれませんね。

ちなみに、これまでで最長の物語になってます。

52

一方、プログラムを断固否定しているはる奈。
同じ否定でも美咲の場合は「有能な若者が散るのは国の損失」という感覚ですが、はる奈は純粋に生命の尊さを主張しています。
この2話を連続にしているのは、2人の思想の対比が狙いです。

要塞を築いて、脱出への基本的な準備は万端です。
しかし、頼みの稔は現れず精神的に極限状態。さらに、禁止エリアが・・・
そこへ訪れたのは奈津美でした。

53

病院に信頼できる者がいれば、治療と休息が出来ます。
奈津美が放送を聞くまで突入しなかったのは、現在の生存者を確認する目的もあったのです。

侵入しようとしていると、中から招き入れるような行為が・・・
不安が募るのも当然ですが、中にいたのは女子では最も信頼できる相手でした。

再会の喜びで生じた一瞬の油断。
まさかの銃撃に対応も遅れて大ピンチです。

54

はる奈に従っていれば何とかなるという自信。
しかし、自分のミスで全てがぶち壊しに・・・
何とか挽回しようと頑張ったのですが、役者が違ったようです。
無理をせずに、はる奈たちを捜せば助かったかもしれません。

一方の里江、死者をも恐れぬとは彼女のことです。
死後のことには興味が無いと割り切られてしまうと、通常の人間には太刀打ちできませんね。

55

単に逃げ出すだけなら充分可能だったのですが、そうはいきません。
逃げてしまえば、今までの努力が水泡に帰します。
一旦逃れて、里江が立ち去った後にまた戻ればよかったのですが、この修羅場ではそこまでの知恵は浮かびませんでした。
そこへ近づく里江の足音。

56

殺したい者と殺したくない者のバトル。
当然、殺したい側が有利でしょう。
殺さずに勝利することがいかに難しいかは想像に難くありません。

それでも、2人であることの長所を精一杯に利用しました。
はる奈が舌戦を仕掛け、その間に奈津美が隠れ場所を変えたのです。

結局、一番会いたかった男の出現により勝利を得ました。
代償は大きかったですが。

最後に稔がはる奈の依頼を拒否しているのは、2つの理由があります。
1つは、盗聴されている以上はまともに引き受けるわけにはいかないというものです。
もう1つは、かなり後に明かされます。

57・58

ネタ自体は初期構想の段階からあったのですが、人物が原案と異なっています。
原案では、あゆみに致命的な傷を与えるのは里江(もちろん、銃創)で、追い払うのは美咲だったのです。
が、ストーリーの展開上でほのかに銃を与える必要が生じたため、美咲をほのかに変更しました。
ところが、この時点で里江とほのかを会わせるわけにはいきません。
当然、追い払うどころか激しいバトルになってしまいます。
そこで、他の者を・・・ というわけですが。
康之を持ってくると、鞭と刃物しか持ってないほのかが追い払うのは困難です。
そこで白羽の矢を立てたのが、未設定で温存してあった裕隆なのです。

あゆみは展開次第では最終生存者になってもおかしくない人物なのですが、彼氏に会えないばかりか妙な相手ばかりに会ってしまいます。
むしろ、康之や里江に会ったのならば迷わず逃亡するでしょうから助かるかもしれません。
普段優しい相手に会ったばかりに、油断してしまいました。
それでも、あの石さえなければ逃げ切れたはずですので、不運そのものです。

克明は、事実上このストーリーのためだけに存在しているキャラです。
これまた生存可能な能力を持っていますが、彼女の無残な姿に耐えるのは無理だったようです。
半狂乱のまま、あゆみの介錯をしてしまいましたが・・・


59

伸也は、原案では里江に会った時点で消えているキャラでした。
変更して残しましたがやはり適切な出番がなく、2回ほど端役をしてもらった後に、康之と戦って壮絶に戦死してもらうことにしました。

普通ならば、マシンガンで襲われたら逃げ出すはずですが、伸也は他のクラスメートを守るためにも康之を始末しようと考えました。
そして勝利寸前までいったのですが、康之が竜太郎から奪った拳銃を持っていたのが不運でした。

60

あゆみが死に際して望んだことは、克明が生き延びること。
だが、克明にとってはあゆみのいない世界に生きていることは死ぬより辛かったようです。
でも自殺する前に敵をとろうとしたのです。これも、あゆみが望んではいないことでしょうけど。

あゆみを刺したことを後悔している裕隆を仕留めるのは簡単でしたが、自分勝手男に倒される結果となります。
やはり敵討ちなどはつまらないことのようです。憎むならば政府でしょう。

紀広がここまで残っているのは意外かも知れませんが、原作でもかなり意外な人物が終盤まで残ってますよね。
さて、遂に残り10人(男子4、女子6)です。
そろそろ最終生存者を予想していただくのも一興かと。

61

ついに宿敵と相対したほのか。
里江が負傷しているため、ほぼ互角の勝負です。
さらに里江を挑発するところまでは上手く行っているのですが、最後は自分の策に溺れて墓穴を掘ってしまいました。
さぞ、無念だったことでしょう。

無論、里江の方には罠を掛けたつもりはなく、ほのかが突如飛び出してきたのは不思議だったことでしょう。
ただ、自分も大ダメージを負ってしまいます。
ちなみに、原案では相打ちになる予定でした。

62

彩香が里江を殺す(殺してしまうと言ったほうが適切)ことを予想された方は少ないと思います。
万馬券レベルの波乱ですが、原作で典子さんが桐山君を倒したのと似たようなものです。

里江は静香に襲われた時に「大金星寸前だった」という意味の発言をしていますが、それ以上の金星ですね。
もっとも、里江は自分が誰に倒されたのかも知らないわけですが。
もし、それを知ったら、里江は成仏できないでしょうね。

里江が消えるのが早いと感じる方もいらっしゃるでしょうが、原作の相馬さんとタイミング的には大差ないのです。

ちなみに里江は、序盤でひ弱な美湖の頭を砕いて惨殺していますので、同じような最期を用意しました。
因果応報といったところでしょうか。
孤独になった彩香の運命はいかに。

63

わがまま男、紀広の物語。
これで、42人中31人が一度は主役になりました。
ゲームに乗るものは、狂気にさいなまれているか、何かを背負っている場合が多いのですが、紀広の場合はただ死にたくないだけです。
それも、家に帰りたいので脱出もできません。

戦闘力自体が低いので、苦戦していたのですがついに銃を入手。
狙われた女子は誰なのか。

64

はる奈ほどではないにせよ、奈津美も理想を追求しています。
とにかく、クラスメートを殺さずに脱出したいのです。
でも、プログラムでは甘い考えと言えるでしょう。
紀広でなく康之に襲われたのなら、アウトだったと思われます。

稔が紀広を撃とうとすると、邪魔をした奈津美とはる奈。
稔にとっては歯がゆいところだったでしょう。
でも、多少は応えた様子。
しかし、稔はある決意を固めます。
それについては、後に。

65

心優しい彩香には、人を殺してしまったショックは絶大です。
目標も守ってくれる者も失い、呆然とさまよった挙句、自殺を決意してしまいます。

そこへ、現れた紀広。
銃は失っても、彩香なら殺せそうです。だが、邪魔が入ります。
本当は逃げたかったのですが、挑発に乗ってしまいました。
強敵を避けていては優勝は出来ないことも、そろそろ悟ったのかも知れませんが。

美咲の感覚では、自殺は論外の行為。
説得して止めさせたのですが、弥生が持っていた銃が本来彩香のものとは知らなかったために妙な展開になってしまいます。

彩香が取り出したのが鞭の方だったのは偶然に近いのですが、彩香にとっては幸運だったでしょう。
もし銃のほうを向けていたら、彩香は蜂の巣にされていたかもしれません。

2度落とされるキャラも珍しいでしょうが、後に彩香の意識があると都合が悪い場面が出て来てしまうのでやむを得ません。

66

終盤戦最後ということで、奈津美から見た生存者たちのイメージを書いてみました。
一緒に行動している2人は割愛になってしまいましたが。

一方の稔、最終決戦に向けて不殺の信念の強いはる奈と奈津美を同伴するのは危険と判断したようです。
そこで、2人を騙して眠らせることにしたのです。勿論、薬剤は病院で多種の薬剤と共に調達しています。
民家に出かけたのも、事前の細工をするためです。
もし、レーダーを持っているジェノキャラがいれば致命的な失敗になってしまうように思えますが、実は稔には対策があるのです。

生存している4人の女子のうち3人が眠っているという妙な状況で決着編に突入です。



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