美奈子のひとりごと
〜 あとがきと解説 〜
第五部 決着
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竜太郎が勇一に託したものは、採石場の必需品のダイナマイト。
竜太郎は首輪を外した後で、ダイナマイトで政府を攻撃するつもりだったようです。
無事に引き継いだ勇一。竜太郎の遺志を生かすことは出来るのか。
そして、会いたかった男、稔との再会。
どうやら脱出に向けての下準備は充分です。
そこへ康之の襲撃です。
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狂気に支配された康之。
勇一は、稔と組んでの2対1ならば勝てる自信があったようですが、康之の強さは予想以上。
思わぬ大苦戦の場に現れたのは美咲でした。
美咲は学校などでは実力を隠していた様子。
動きのよさに勇一は舌を巻きます。
美咲と康之の勝負はほぼ互角。勇一の援護で、ついに美咲は康之を倒しました。
だが、美咲は・・・
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実際のところ、美咲は奈津美との舌戦でほとんど洗脳されていたわけです。
すなわち、あの舌戦は物語全体を大きく左右する出来事だったのです。
脱出に向けて行動は順調です。
稔が首輪を外せるのは、無論破壊された首輪を分析した成果ですが、これについては後に語られます。
彩香を眠らせてあるのは、状況を理解できずに余計な発言をする可能性があるからです。
首輪から解放された4人。
あとは逆襲のみです。
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久しぶりに担当官のお話。
美咲がゲームに乗らないことが不満だった川渕ですが、残り人数が少なくなっても美咲は健在。
結局は優勝するだろうと信じていたわけです。だが・・・
生存の2人に疑問を感じた川渕。
もちろん、稔がトリックを使っているのです。
詳しくは後に明かされますが、既に予想されている方も多いことでしょう。
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オリバトには夢や幻覚のシーンが珍しくありませんが、ここでは少し変わった夢を用意してみました。
散っている子たちは顔がなくなっているのです。
生きている勇一にだけ顔があるわけですが、本当の勇一の顔というよりも奈津美が理想とする男子の顔になっていたことでしょう。
突如、首輪が消えているとどう感じるでしょうか。
喜びの前にとまどってしまいますよね。でも、その後の解放感は大きいでしょう。
無論、勇一たちを置き去りにして脱出するわけにはいきません。
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原作の三村君が夢見た本部の爆破です。
だが、犬を発見した兵士の報告により、川渕と兵士たちは爆発寸前に脱出して逆襲を始めました。
この戦いは団結力が全て。
お互いの絶妙の助け合いがなければ、間違いなく敗北したでしょう。
反逆者を仕留める功を焦った兵士たちを見事に撃退です。
そして奈津美も最後に参戦。主人公の体裁を保ちました。
大団円
政府の敗因は、稔が指摘したこと以外にもいろいろあるでしょう。
首輪に頼りすぎたことや、会場内にダイナマイトが存在しているのを見落としていたことも敗因でしょうし、川渕が美咲を信用しすぎたことも該当するでしょう。
政府にだけは容赦しないつもりだった奈津美ですが、結局は出来ませんでした。
不殺の信念は最後まで貫かれたわけです。
最終生存者6人が、これで確定です。皆様の予想はどうだったことでしょう。
会長のBR2と、性別も含めて偶然にも同じ人数となりました。
さて、美咲と勇一の決闘ですが、美咲は本当に勇一を殺すつもりだったのでしょうか。
美咲の腕前ならば、勇一の銃を弾き飛ばさなくても撃てたはずですし、それ以前にも決着を付けれたような気もします。
美咲は自分の気持ちを整理するために決闘をしたのであって、奈津美が飛び込んでくるのを待っていたのかもしれません。
後日譚
もともとは、奈津美たちのアメリカでののどかな生活を描く予定でした。
ところが、書いているうちにどんどんストーリーが膨らんでしまって、大東亜崩壊ストーリーになってしまいました。
正直なところ、自分自身も驚いている結末です。
大東亜崩壊のシナリオ作りは、脱出の先輩である七原君の仕事にしました。
登場してもらった以上、何もさせないわけにはいきませんし。
なお、恐怖政治の無血崩壊に首脳部を極秘裏に亡命させるというアイデアは、某政治漫画から拝借しました。
この場にいない美咲にも、しっかりと働いてもらいました。鞭も一緒に(笑)
結局美咲は、奈津美と勇一を危険な目に合わせたくなかったようです。
そして、2人は見事にゴールイン。
その後の物語については、どうぞご自由にご想像ください。