BATTLE
ROYALE
〜 最後の聖戦 〜
第3話
上祭中学校の校舎、その屋上へと繋がる階段の踊り場。
そこには普段、誰も来ないため、怪談話も作られるような場所で、誰も近寄らない場所である。
しかし、今日は違っていた。
そこに、私は佇んでいた。
やがてそこに四人の生徒がやってくるのが見えた。
「…来たね」そう、私は呟いた。
やって来た四人の生徒は階段の下から上を見上げ、その存在を確認すると、その場に片膝をついて跪いた。
「…申し訳ありません、遅れてしまいました」
四人は揃って言った。
「…別に構わない。それより、上に来なさい」
「分かりました」
4人が上がってきた。
そして踊り場で再び止まり、また片膝をついて跪いた。
「今日は…どのような指令を?」
一人が言った。
「うむ…実は私の、米帝に渡った知り合いが、今回、我々のクラスでプログラムが行われると知らせてきたのだ。そして、今日行われる…ともな」
四人の顔が強張ったのが、分かった。
この大東亜共和国が、全国の中学三年生を対象に一年に五十クラスを選び、戦闘実験と称して殺し合わせるゲーム、「プログラム」。
それに選ばれたというのだから、驚くのも無理は無い、と私は思った。
「し、真実なのですか? その知り合いとやらは信用できるのですか?」
また、別の生徒が言った。
「事実だ。そこで君たちに指令を出そう。私も非常に心苦しいが、私の「目標」のためにも、クラスメイトは殺さねばならん。だから…」
私はそう言って4人にある物を渡した。
「これは…」
「君たちにも協力してもらいたい。どういう意味か…分かるかな?」
四人は十分に理解している、といった表情をしていた。
「分かりました。やらせていただきます。…教祖様」
「私たちは教祖様のおかげで救われたのですから、当然です」
「承知しました」
「私の理解者である教祖様の「目標」のためなら…」
四人が、そう言った。
「…済まない…、出来れば君たちの手は汚させたくはなかったが…逃れる方法が見つからなかった…」
「構いません。我々が死んでも、教祖様が生きてさえいれば「目標」を達成することは出来るはずです」
一人が凛とした声できっぱりと言い放った。
「うむ…では、戻ろう。もちろん、誰にも、我々のことを感づかれぬよう…」
「はい」
そう言って四人が帰ろうとしたとき私は思った。
―やはり…。
「待て、君は残りなさい」
私は一人を呼び止めた。
私は、その生徒に言った。
「君は戦わなくても良い。君は…」
「教祖様。それは不公平でございます。私は教祖様を信じ、戦うことを誓いました。しかし私だけ戦うなとは…」
泣いていた。
「分かった、そこまで言うなら、戦いなさい」
その生徒は、それを聞いてほっとしたのか、すぐに戻っていった。
―私はそう言うしかなかった。
―「目標」のためには、容赦なく、やるしかないのだ。
―私は、心を鬼にしなければならぬ。
<残り42人>