杉琴。の戯言
〜 あとがきと解説 〜
惑乱編
第67話〜『事件』
『惑乱編』のスタートを飾るのは、『崩壊編』と同じく担当教官・古嶋視点から。
前回の第41話でも触れられた、哲弥と冬子についての調査が行わたようです。ここで新たに新事実も多数発覚……完全に掴みの話として書いています。
『惑乱編』以降は、哲弥と冬子の過去を明かしていくことに焦点を当てていくことになりますので、そのための担当教官視点となりました。
今回分かったのは冬子の過去についての情報と、蛍の父親について。
蛍の父親が何故殺されたのか。これは蛍についても理解していくために必要なワードとなります。
今後も色々な形で情報を出していくことになると思いますので、是非予想してみてください。
次回からは再度生徒たちの視点に戻ります。
第68話〜門番の章・5『記憶』
一旦小休止中の『門番』こと哲弥。
今回は哲弥と冬子の過去についてかなり詳細に明かされていく内容になっています。
もっとも『あの日』の全容についてはまだはっきりとは書かれていない状況。この二人については、今後『あの日』の内容解明がメインになっていくと思われます。
さらに、哲弥が確実に殺したいと思っている人物がいることも判明。相手の正体ですが、これは理由はともかく、誰なのかは現時点で判断可能になっていますので、是非お考えください。
後二回ほど、放送前後の生徒たちの状況説明といった感じになるかと思います。
第69話〜代行の章・1『役割』
ここにきて新たな章・『代行の章』が開始。その主人公は出番こそ多かったものの視点回のなかった永市です。
なお、新章はあともう一つだけありますので少々お待ちください。といっても、あと一人が誰かは想像しやすいでしょうが……。
そして永市は、友人を全て失ってしまったことで強いショックを受けていましたが、どうにか自分のやるべきことを見出して立ち直ってきています。
彼が今後話の本筋にどう絡んでいくかは、彼自身がやるべきこととして挙げた中にいる冬子と直美次第といえるでしょう。
現在地が禁止エリアになったこともあり早目に行動していくでしょうが、果たして今後は……?
第70話〜『減少』
今回は、初の視点回となる雪乃の話です。
雪乃のキャラクターがかなり掘り下げられましたが、彼女のキャラクター付けは拙作『仮面演舞』の粟倉貴子を参考にしています。違った道を歩む貴子、といった感じでしょうか。
つまり、貴子にあり得た可能性の姿、という形で雪乃のキャラクターは作られているわけです。直美や悠斗絡みの部分はまさにそういったイメージで書きました。
ここまではしっかり者な面が強く出ていた雪乃ですが、彼女の抱える脆さが少しでも描写できていたらと思います。
そして、ホテル組にも脱落者が出てしまい嫌な雰囲気が漂ってまいりました。この状況でどういった変化が起きるのか。要注目です。
第71話〜親愛の章・1『親友』
唯一の未登場生徒となっていたちはる、遂に初登場。同時に『親愛の章』開始。
以前『代行の章』開始時のあとがきで書いた最後の新章こそが、この『親愛の章』となります。えらく出番が遅くなったちはるですが、理由はまたいずれこの部分で書くこととします。
冬子を探し続けていたようですが、同時に冬子の内面を多少なりとも感じてはいたらしいちはる。
章主人公となったからには彼女にも明確なメインにかかわる役割がありますので、ご注目ください。
ひとまず今回は長らく未登場だった間のちはるの動向説明がメインとなっていますが、最後に新たな生徒が。
前回の話でホテルから出て行ってしまったことが判明したばかりの真琴。果たして彼女はどういう行動に出るのか。『親愛の章』、次回に続きます。
第72話〜親愛の章・2『判断』
真琴と遭遇したちはる、すぐに真琴について分析し始めます。交友が広いゆえに、クラスメイトに対する考察もできているようで、この点についてはかなり優秀といえるはずです。
友人である直美からすれば『ドライ』と捉えられるものも、関係の浅いちはるからすれば『冷たい』。交友の差ゆえの評価の不一致といえるでしょう。
そしてここからのちはるの判断はかなり機敏。割と胆力もありますので、今後大いに期待できそうな感じ。
一方の真琴は、どうやらここにきてゲームに乗るスタンスをとったようです。しかし既に哲弥と冬子、江里佳や弓、伊織といった強敵が存在している現状ではかなり厳しいと言わざるを得ません。
スペックも身体能力は高そうですが……。おまけに今回の話で負傷。彼女の今後は一体……?
そして、ひとまずこの場は離脱したちはる。果たして目的を果たすことはできるのでしょうか?
第73話〜守護の章・3『突発』
序盤から登場しやる気になっていたものの、未だキルスコア0の伊織。
いい加減焦りも感じてきているようですが、武器以外の面では他のやる気の人間に負けている部分が多めなのがやはり辛いところ。
いまいち目立ってないですが、彼にメインキャラの座を与えた理由ももちろん存在しますので、要注目です。
また、今回で伊織が守ろうとしている人物が冬子であることが確定。しかし冬子の本性は既に明かされた通りなわけで……。そのことを伊織が知るときはあるのか……?
そして伊織が発見したターゲットは蛍。彼女もまた、モールに来ていました。戦闘終了後も、モールは大忙しです。
伊織に狙われた蛍の運命は……。
第74話〜反逆の章・4『援護』
伊織によって発見された蛍。さすがに手持ちの武器ではどうしようもなく、逃走を強いられます。
唯一信用できるクラスメイトとなっていた恭子を失ったことは蛍にとってかなりの痛手。それに続けての伊織の襲撃ですので、今回はかなり酷い目に遭っていますね。
しかし必死の逃避行の末に、まさかの救いの手。ここはどうにか生き延びた蛍ですが、体力を相当消耗していますので、今後の行動は多少制限されてくるかもしれません。
そして蛍を助けたのは、モール組崩壊以来の登場となった隆彦と幸靖。
この二人と蛍がすんなり合流となるかどうかはまだ分かりませんが、合流できれば蛍にとってこの二人はかなり心強い味方になるといえるでしょう。
さて、まだ人数的には動きのない『惑乱編』。次回はどういった動きになるのか……?
第75話〜『消沈』
鳴動編以来の登場となった友宏と百合。
当初はここまで間隔が空く予定はなかったのですが……メインの展開に入り込めなかった以上、仕方がないことなのかもしれませんね。
久信の言葉が原因で、ショックから立ち直れていない友宏を抱え、厳しい状況の百合。そこへ現れたのはこれまた久々登場の弓でした。
弓はもちろんやる気。友宏が戦えない以上逃げる以外の選択肢はありませんが、このままではジリ貧なのも事実です。
果たして友宏は復活できるのか。そこがこの二人のポイントになりそうです。
第76話〜『再起』
弓から逃走する友宏と百合。しかしあっさりと弓に追いつかれ、絶体絶命のピンチに。
しかしここでようやく気持ちの整理がついた友宏が復活。弓への反撃で傷を負わせます。久信の言葉にどこまでも反抗する道を選ぶことで、立ち直ることに成功したわけですね。
それでもピンチは継続中でしたが、ここにきてちはるの乱入により危機を脱しました。
前回登場から早い再登場となったちはるですが、前回見せた精神力の強さは健在です。
ですがここで合流には至らず、ちはるは冬子を探すことを優先。実際のところ、冬子と会うことは結構危険なので、合流して冬子を探さない方が良かったとは思います。
決意を新たにした友宏。脱出への希望は、隆彦たちに託された状態ですが果たしてどうなるのでしょうか?
第77話〜深遠の章・5『接近』
潜伏場所が早々に禁止エリアとなり、移動を余儀なくされた冬子。
もともと暗闇を嫌っている関係上長居をするつもりはなかったようですが、それでも急な予定変更は堪えた様子。新たな潜伏場所として会場端を選びましたが、そこには先客が。
しかも相手は元モール組の隆彦と幸靖。心情的にも出くわしたくなかった相手です。
果たして冬子はこの場面でどう動くのでしょうか? 一方、前回隆彦たちに助けられた蛍の姿が見えませんが……。
次回は隆彦たちの視点からとなります。
第78話〜『対峙』
前回の対面シーン、隆彦視点からの話となります。
今回はやたら話が延びに延びて、当初の想定を超える文章量になっています。急な文章量の増加となりますが、ご了承ください。
隆彦たちは結局蛍と合流。互いに情報交換を済ませたところで冬子との遭遇――という流れになっています。
冬子をどう判断するか迷っていた隆彦たちですが、モール組の生存状況を考えれば迷いが出るのも致し方ないところでしょう。さらに蛍の態度……これを決め手に、隆彦たちは冬子を追い払うこととなったわけですが……。
問題は蛍が何故冬子に対して恐れを抱いているのか。
冬子の真実の貌は読者には既に明かされておりますが、登場人物たちはまだ辿り着いていないわけですから、この蛍の反応は何らかのカギになるのかもしれません。
蛍の重要性がますます増したところで、場面はまた移ります。
次回から『惑乱編』にもようやく動きが出てきます。ここまでお待たせして、申し訳ありませんでした。
第79話〜後悔の章・4『約束』
真琴の離脱もあってムードが悪化し始めているホテル組。
特にリーダーである雪乃の消沈ぶりが激しいようですが、そこはリーダーらしく気丈に振る舞うことで何とか場を保っている状態です。
その一方で、直美は少しずつではありますが視野が広がってきた様子。雪乃を気遣う様子も見られるようになり、今後の活躍が期待できるのではないでしょうか。地味に見張り役以外での唯一の銃所持者でもありますしね。
また、真琴を離脱させてしまった件についても、光と雪乃の対話もあってさほど蟠りなく収束する気配。
ホテル組はこのまま結束を保っていられるのか。そして直美と雪乃が交わした約束。
これがどうなるかは、もう少ししてからということで……。
第80話〜『変貌』
見張りに出た光、これが初の視点となります。
真琴の離脱をきっかけに雰囲気が悪化していたグループを何とかしようと、脱出についての可能性に思いを巡らせます。
ここで原作の一件と、その翌年の脱出について書いてありますが、翌年の脱出については拙作『誓いの空』を参照くださいませ。
どうにかある程度信用できそうな生徒を絞り込んだ光ですが、読者視点からいうと危なっかしい部分があるのは……まあ、御愛嬌ということで(汗)
脱出について考えたことでだいぶ落ち着くことができた光でしたが、そこで合流できていなかった友人の一人と再会。しかし相手の危険性にすぐ気付けなかったのが命取りになってしまいました。まあ、彼女が危険だと思っていなかったが故の油断でしたので……。
いよいよ『惑乱編』にも退場者が現れました。
今までに比べてやけに落ち着いている江里佳ですが、その理由は一体?
ここから『惑乱編』ラストまで、一気に突っ走りたいと思います。
第81話〜後悔の章・5『荷物』
光の死により、ついにホテル組にも崩壊の時が訪れます。
雪乃が手早く脱出の算段を立てますが、その前に江里佳がホテル内に侵入。まさかの二丁拳銃です。
二丁拳銃は当初、させるつもりがなかったのですが、なるべく派手な登場にしたいと考えた結果こうなりました。正直、女子中学生に可能かどうかはさておいてのアイデアなので、突っ込みどころはあると思いますがご了承ください。
江里佳の侵入によりすっかり大混乱、その中で奈保だけ単独行動となってしまいますが、これの顛末についてはまた。
一方の直美と雪乃ですが、この状況で奈保を救出に動かないのはやむを得ないことだと思います。イメージ的にはよろしくないでしょうが、現状勝算があるかというと非常に低いですから……。
ともかくこれで直美と雪乃はホテル脱出に動くようですが、果たしてその行動の結果は……。
第82話〜瞬間の章・5『狩猟』
これまでと違う雰囲気の江里佳。
その理由は狂気のコントロールだったわけですが……実はこれ、結構ギリギリまで取り入れるかどうか悩んだ設定だったりします。
というのも、メイン級のはずの江里佳が単なる狂った生徒止まりになってしまうと、如何せん戦闘シーンや心情描写の難易度がかなり上がってしまいます。そこで、狂気を突き抜けて一転して冷静に……というアイデアを見出したのですが、いかがでしょうか?
こんな設定ありか! と思われる方もいらっしゃると思ったので、採用するか悩んだのですが、この設定の方が江里佳のここからの話は書きやすく、分かりやすくなると思いますのでどうかご了承ください。
一方の奈保。彼女には結局視点回が来ないまま退場となってしまいました。
ですが、奈保のキャラクターとしては、正直この場面のために存在したと言っても過言ではない感じですので、作者の私自身としては概ね満足のいくように書けたと思っています。
次回もホテル編は続きます。果たして直美と雪乃はどうなったのか……。
第83話〜『祈願』
どうにかホテルを脱出できた直美と雪乃でしたが、江里佳からは逃げきれず。
ここまでなかなか頑張ってきた雪乃も、遂にここで退場。雪乃自体は書いていくうちにどんどん私の中で存在感が増していき、最終的には当初のプロットをはるかに超える扱いになったように思います。
彼女が直美と悠斗に抱いている思いがうまく伝えられていれば、と思う次第であります。
雪乃をもっとメイン級に扱っていてもおかしくなかったのですが、設定上彼女は章主人公にできない理由がありましたので、こういう形になりました。章主人公の基準については、完結した時にでも語らせていただこうかと思います。
そして、雪乃によって逃がされた直美ですが、現状立ち直りかけてきていましたが雪乃との別れで今後どうなるのか? どう動いていくのか? そこのところに注目です。
第84話〜『強襲』
初登場時以来となる、弓視点の話です。
今のところ、女子ではトップのキルスコアとなっている彼女ですが、ここしばらくは影が薄い感じ。思うようにいかない焦りもあって、ホテル組の戦闘への乱入を図った形です。
しかし到着時点では既に決着済。すぐに銃声の主を探して行動開始でしたが――銃声の主、江里佳に先制攻撃を許すなどまたしても後手に回ってしまいました。決しておかしな行動をしているわけではないのですが……何とも不運です。
そして弓対江里佳の戦いに突入。現状では江里佳有利といえますが、果たしてどうなるのか。
この戦いの行方は、次回に続きます。
第85話〜瞬間の章・6『解放』
ここにきて一気に強化され、強敵化が進んでいた江里佳。
今回も先手を取って優勢に進めていましたが、相手の策に踊らされ、最後は事実上の戦意喪失という形で敗れてしまいました。
こういった結果になったのは、これまでの相手と違い、弓は一方的にやられているような相手ではなく、かつやる気の人間だったということがあげられます。それ故に、傷を負わされても戦意は衰えずに殺すために攻撃し、江里佳に傷を負わせる結果になったということでしょう。
狂気を加速させてスペックが上がっていたとはいえ、もともとのスペックは決して高くなかったことが痛かったです。
そして彼女の記憶により『あの日』の廃墟に哲弥がいたことが明確となりましたが……読者の皆様の多くにとっては、今更過ぎる情報かもしれません(汗)
今後は、こういう周辺情報も徐々に開示されていくと思いますので、十分にチェックしてみてください。
一方の弓は、勝利して多くの戦利品を得たものの、自身も負傷。これが今後にどう響いてくるかに注目です。
第86話〜代行の章・2『保護』
『惑乱編』の最後を飾るのは、行動を開始していた永市。
彼の目的を達成するためには、その支給武器は非常に力強い味方といえるでしょう。ここまであまり出番のなかった探知機。ここにきてようやくスポットが当たりました。
その探知機によって発見できたのは、悠斗の死体。目的とは違うものですが、永市の意志をより強くするには良い出会いだったといえるかもしれません。
そして直後の、直美との遭遇。これにより目的を一つ達成出来た永市。しかし直美の疲労はかなり激しいだけに、しばらくは目立った動きはしづらくなるかも……?
これにより、永市も章主人公らしく本筋に絡んでいけそうな気配です。
次章のタイトルは『集約編』。このタイトルがどういう意味を持つかはまだ不明ですが、次回にご期待ください。