BATTLE ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜


第14話

 湯原真弓(女子20番)は、急いで学校から離れるため、走っていた。
―怖い。どうしよう! 早く逃げないと―!
 真弓も友人の兎丸葵(女子13番)からのメモを受け取っていた。
 だが、真弓はそのメモを受け取るだけで、見ていなかった。
 真弓は目の前で担任の高村の死体を見てから、ずっと恐怖で怯えており、見ていたのは稚下野の顔ぐらいだった。
 そのため、葵が渡してきたメモも、見ることなく葵に返してしまったのである。
 そこで真弓はある事に気が付いた。
―そうだ、支給武器! あれがないと逃げても無意味よ!
 そして真弓は立ち止まってデイバッグを降ろし、中を漁った。
―何か、何か身を守れるものはないの?
 だが、中に入っていた武器は、何の変哲もないテニスラケットだった。
―そ、そんな―!
 だが、幸か不幸かこのハズレ武器が、元々明るい性格の真弓を開き直らせた。
―ははは。何だかこんなの見てたら落ち着いてきちゃった。…そういえば、葵が説明中にメモを回してたわね。あれって、合流場所を書いてたんじゃ…。
 そこまで考えて真弓はスタート地点、C−8へ戻るため、再び走り出した。
―今なら忍や智絵が出発するところだろうし、今行けば葵たちに合流できるかも!
 今いるのがB−8。走れば間に合うだろう。
 そこで真弓は誰かを見つけた。
 それは於保正己(男子4番)だった。
 正己は真弓の幼馴染、佐藤康利(男子8番)と同じグループだった。
 だが、ただ単に同じグループの須藤広樹(男子9番)と仲がいいだけで、康利とは気が合わず、いつも喧嘩ばかりしていたので、真弓はあまり好感を持っていなかった。
―話し掛けたくないし、やる気かもしれないし、隠れてやり過ごそう。
 そして真弓が近くの茂みに隠れようとすると、突然正己が真弓に向かって走ってきた。
 その正己の手には、折りたたみナイフが握られていた。
―え―。
 隠れる暇もなく突っ込んできた正己は、折りたたみナイフを真弓の胸に深々と突き立てた。
 正己がナイフを抜くと、真弓の体はずるっと崩れ落ちた。
 もう、死んでいた。
 血にまみれたナイフを持って正己は言った。
「優勝してやる。何としても。それが僕の使命なんだ! とりあえず戻って出てくる奴を片っ端から殺してやる!」
 正己は元来た道を戻り始めた。

 女子20番 湯原真弓 退場


<残り41人>


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