BATTLE
ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜
第19話
彦野勝(男子19番)が診療所に戻った頃、H−4の集落を、絵馬忍(女子3番)は歩いていた。
―なかなか人に会えないな…。
忍は右手を見た。
忍の右手には、支給武器の政府特製けん玉があった。
何でも、玉が鉄球で、紐が強化ゴムらしい。
―でも、いくら何でも重すぎよ!
すると、目の前に人影が見えた。
和歌野将(男子22番)だった。
忍は将との交流は全くなく、話したことすらなかった。
だが、将は忍に気がつき、話し掛けようと思ったのか、近づいてきた。
「…ごめんね…? 和歌野君…」
そう忍は呟くと、将に向かって走り、けん玉の鉄球を将に向かって振り下ろした。
ドカッ!
「ぐっ!」
将は左肩を押さえ、がくっと膝をついた。
―もう1回!
忍は再び鉄球を振り下ろした。
ドカッ!
「がはっ!」
しかし、将は立ち上がると、右手の拳大の石で忍の左肩を殴った。
「うああああああ!」
そして将はなおも忍に殴りかかった。
ドカッ!
だが、忍が再び振り下ろした鉄球は、将の顔面にヒットした。
将はうつ伏せに倒れ、やがて動かなくなった。
「ふう…ごめんね、和歌野君…私も…ゲフッ!」
忍はまた血を吐いた。
「私もね…ゲームに乗ったんだ」
そう言って忍はその場を立ち去った。
その光景を、彦野勝(男子19番)は見ていた。
「や、やばいなこりゃ…」
この調子でいくと、絵馬忍は自分の優勝への大きな障害となる。
―もう、行動を始めた方がいいな。
そして、勝は診療所へ戻っていった。
男子22番 和歌野将 退場
<残り39人>