BATTLE ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜


中盤戦
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第24話

 時計が5時57分を指していた。
 絵馬忍(女子3番)は、F−5の森の中で目覚めた。
 傍らのけん玉の先についた鉄球には、乾ききった血がこびりついている。
―そうだ。私―、人を殺したんだ。
 忍の脳裏に、昨日の出来事が蘇った。
 忍の顔面への攻撃で事切れ、崩れ落ちる和歌野将(男子22番)。
 顔に飛び散ってきた生暖かい液体…血。
 そこで忍は、出発してから何も食べていないのに気がつき、デイバッグからパンを取り出し、一齧りした。
 固くておいしくなかった。
 やがて忍のつけていた腕時計が6時を指し、聞いただけでも腹の立つ、稚下野の声がした。
「おいお前らー、起きてるかー。担任の稚下野だ! 午前6時になったから、放送を始めるぞ! まずは、これまでに死んだ奴の名前を発表するからな! 死んだ順番だぞ。まず、女子20番、湯原真弓」
「えっ?」
 忍は思わず呟いた。
 それもそうだろう。真弓も忍と同じ兎丸葵(女子13番)のグループなので、てっきり真弓も葵と合流したのだろうと、忍も思っていた。
 だが、その真弓が死んでいるということは、真弓は葵と合流しなかったのだろうか?―と、忍は考えたが、放送はまだ続いていたので、そこで真弓について考えるのはやめた。
「男子4番、於保正己。男子22番、和歌野将。男子2番、今井友也。男子19番、彦野勝。女子6番、倉田凪。以上6名だ。まずまずのペースで来てるようだな。だが男子はずいぶん減ったな! 男子頑張れよ!」
 忍は名簿の死んだ生徒の名前をチェックした。
「続いて、禁止エリアだ。7時から、B−2。9時から、H−7。11時から、I−10。以上だが、分かったな? もう言わねーぞ? じゃあまた、生きてたら次の放送でな」
 忍は、真弓のこと以外にも気になる事があった。
 曽原秀也(男子10番)の不良グループが、秀也と円谷和彦(男子15番)しか生き残っていないという事だ。
 秀也が今井友也(男子2番)と彦野勝(男子19番)を殺したのだろうか(和彦は教室でやる気になったような発言をしていたので、秀也も合流してはいないだろう)?
 そうでないとしても秀也には注意した方が良いだろう。
 忍がそうやって考えていると、近くに人影が見えた。
 忍は気づかれないように、少し近寄った。
 旗井卑弥呼(女子18番)だった。
 確か、占いが得意だと聞いた事がある。
 そこで忍は、卑弥呼の右手にあるもの―拳銃に注目した。
―あれを手に入れられたら、少しは戦うのも楽になるかな?
 忍はけん玉を持って、そっと卑弥呼の方に近寄っていった。


<残り36人>


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