BATTLE ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜


第26話

「誰も見かけねえな…」
 佐藤康利(男子8番)は、島の南東にある集落(恐らく、J−8あたりだろう)を歩いていた。
「さっきは銃声もしたしな…俺や於保以外にもやる気の奴は間違いなくいるな」
 康利は、B−8で於保正己(男子4番)を殺してから、誰にも会ってはいなかった。
 だが、放送までに2、3度銃声を聞いている。
 そしてついさっき、島の中心の方で1回、銃声がした。
 そんな事を考えながら歩いていると、誰かの気配を感じた。
「ん…?」
 康利が振り返ると、民家に、誰かが入るのが見えた。
 その人物は、髪を立てた、大柄な男子だった。
―間違いない! 広樹だ!
 そう、その男子は、康利と同じグループの、柔道部で激情型の須藤広樹(男子9番)だった。
 康利は、ゆっくりと民家に近づいた(グロッグは、デイバッグに隠した)。
 もちろん、広樹を殺すために。
 そして、民家のドアを叩いた。
「おい、広樹、いるんだろ? 俺だ、佐藤だ!」
 すると、ドアが開き、誰かが出てきた。
 しかし、それは広樹ではなく、国見俊和(男子6番)だった。
―なるほど、2人一緒にいたって訳か…
「康利…どうしたんだ?」
「広樹がここに入るのが見えてな…」
「そうか…まあ、入れよ」
「ああ…サンキュ」
 民家の中には、先ほど見かけた、須藤広樹がいた。
「よう、康利」
「ああ。ところで…広樹は外で何してたんだ?」
「いや…ここの食料が腐っててな。他の家も探してみたんだが…何処も腐ってた」
 それを聞いて、俊和が言った。
「だから言ったろ? この季節、食い物はすぐ腐るって!」
「わりぃ」
 そして康利は、2人に聞いた。
「そういやさ…お前らの武器って、何?」
 すると俊和が、デイバッグから靴らしきものを取り出した。
「俺はこれ。スパイクシューズだって」
「俺はギターだとさ」
 広樹も言った。
 それに、俊和が言った。
「でも、ハズレで良かったよ」
「何で?」
 康利の問いに、俊和はこう続けた。
「俺はこのクラスの奴は皆良いやつだと信じてるんだから。そいつらを殺したくはないよ」
 康利は、ボソッと呟いた。
「おめでたいな」
「え?」
 次の瞬間には、康利がデイバッグからグロッグを取り出して、俊和に向かって撃った。
「がは…っ!」
「悪いな…俺は稚下野たちに復讐するためにも…優勝しないといけねえんだ」
 その光景を見ていた広樹は、すぐに自分のデイバッグをひっつかんで外へ逃げ出していった。
「な…、おい、広樹!」
「これが、お前の信じてたクラスメイトって奴だ、分かるか?」
「そんな…何で…俺…このクラスを信じてたのに…」
 ドガドガドガ
 そして銃声とともに、俊和の頭が弾け飛んだ。
「次は…広樹だ」
 そう呟くと、康利は逃げた広樹を追って外へ走り出した。

男子6番 国見俊和 退場


<残り34人>


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