BATTLE ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜


第28話

「あいつが凪を殺したのかも…」
 高円寺紀世彦(男子7番)は、E−5へと向かっていた。
―凪を殺したのが誰か分からない以上、全員殺す必要がある。
 そう考えて紀世彦は行動していた(だが、その凪を殺したのが神野優(女子8番)だとは、彼は知る由もない)。
 そう、先ほど時田賢介(男子16番)と吉山孝太(男子21番)が見た人物は、この紀世彦だったのだ。
 やがて紀世彦は山頂に着くと、孝太がやってきた。
「よく来てくれたな、高円寺!」
 向こう側にいた賢介も言った。
「高円寺、俺たち、みんなを集めて脱出方法を考えようと思ってたんだ! 一緒にやろうぜ!」
 しかし、2人のその言葉は、紀世彦の耳には入っていなかった。
「お前らが凪を殺したのか…?」
 紀世彦はぼそっと呟いた。
「え?」
 次の瞬間、紀世彦は日本刀で孝太を袈裟懸けに斬りつけた。
「ぐあっ」
 切り口から血を噴出しながら、孝太は仰向けに倒れた。
「な…、何をするんだ、高円寺!」
 賢介がそう叫ぶと、紀世彦は無表情で、言った。
「…俺は凪を殺した奴を地獄へ落とすんだ…だから、全員殺す」
「そんな…」
 賢介は驚愕した。
 普段クラス内では誰からも好かれるいい奴だった紀世彦が、今目の前でクラスメイトを殺すことを宣言してみせたのだ。
 ここで初めて賢介はこの「ゲーム」の現実を知ったような気がした。
「逃げろ、賢介!」
 そう言ったのは、孝太だった。
「な…そ、そんなことできねえよ!」
 躊躇う賢介に、孝太は怒鳴った。
「早く行け馬鹿野郎! ここで2人とも死ぬのと俺1人が死ぬの、どっちが良いと思う? お前だけでも生きた方が良いに決まってるだろうが!」
「く…悪い、孝太」
 賢介は孝太と紀世彦とは反対方向に走っていった。
 孝太は呟いた。
「へっ…いちいち謝ってんじゃねーよ…馬鹿が…」
 そこで、首から熱いものが噴出し、孝太の意識はなくなった。
 紀世彦は孝太の首から日本刀を引き抜くと、刀身に付いた血をふき取った。
 そして、呟いた。
「みんな殺さないと…みんな…」

 男子21番 吉山孝太 退場


<残り33人>


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