BATTLE
ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜
第47話
―面倒な事になっちゃったな。
絵馬忍(女子3番)はルガーを目の前で自分に向かってマシンガンを乱射している高山洋一(男子11番)に向かって撃ちながら、思った。
洋一との銃撃戦になった原因は、自分の不注意だったのだが。
忍は旗井卑弥呼(女子18番)を殺した後、この観光協会に隠れていたのだ。
しかし、観光協会は大変ほこりっぽく、忍には耐えられなかった。
そこで観光協会を出ようとドアを開けた所で、洋一に遭遇してしまったのである。
まさにこれは、出る前に誰かが近くにいないかどうかを確かめなかった忍のミスと言えるだろう。
そして洋一がマシンガンを構えたため、すぐにその場から離れ、応戦した結果、銃撃戦になってしまった…ということなのである。
だが今、忍は窮地に追いやられていた。
ルガーはもうあまり予備の弾がない所まで来ている。
それに最初は的外れだった洋一の銃撃も、慣れてきたのか、だんだん忍の近くに当たるようになってきている。
―できる限り弾を無駄に使わないようにしないと…。
すると突然、何者かが飛び出してきた。
時田賢介(男子16番)だった。
「お前ら、やめるんだ!」
洋一が、賢介に狙いを変えた。
―高山君が時田君に気を取られた! 今だ!
忍は洋一の頭目掛けてルガーを撃った。
発射された弾は洋一の右こめかみを貫き、洋一は横に倒れた。
もう、動かなかった。
当たり前だ。頭を撃たれた人間が生きていられるはずがない。
賢介が叫んだ。
「どうしてだよ、絵馬! 何で…何で殺したんだよ!」
忍は言った。
「私はどうしても優勝しないといけない…それが理由よ。それより時田君は何で飛び出してきたの?」
「俺は…みんなを説得しようと思ってる。みんな集まれば、何かの知恵が…」
「甘いわ」
忍が賢介の言葉を遮った。
「時田君はまだ説得なんて甘い事考えてるの? 私、時田君と吉山君の朝の呼びかけ聞いたけど、あんなの甘いわ。現に吉山君だって殺されたんでしょう? やる気の人がいるってことでしょう? そんな状況でクラスメイトみんなを信じようとするのは甘すぎるのよ。…じゃあね」
忍は洋一のマシンガンを手に取ると、西へと歩いていった。
賢介は、うずくまってしまった。
体が震えていた。
それを見ていた曽原秀也(男子10番)と橘蓮(男子12番)は、賢介に声をかけることも出来ず、目的地へ歩いていった。
男子11番 高山洋一 退場
<残り24人>