BATTLE
ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜
第48話
「男子11番高山洋一が死亡しました」
モニターに向かっていた兵士、座頭腰也(ざとうこしや)が言った。
「あっそ」
稚下野六郎(埼玉県立北屋中学校3年A組プログラム担当官)は、そんな事どうでもいいかのように言った。
「ところで、腰也」
稚下野が少し間を開けていった。
「玉田は動いたか?」
「いや、まだです」
腰也は答えた。
「そうかよ…ちっ、面白くねえな。俺、あいつに賭けてるのに」
近くにいた、御森泰介(ごもりたいすけ)はそれを聞いて、答えた。
「それって…トトカルチョの事ですか?」
「ああ、そうだよ。トトカルチョの順位は凄い事になってる。殺してまわってるのはほとんど真ん中か下の方の奴らばっかだ。それにしてもなあ〜! 玉田が優勝してくれねえかな。俺、あいつに今月分の給料全部賭けてるんだから」
「…そうですか」
御森はすぐに稚下野から離れた。
御森は前から稚下野に反感を持っていた。
プログラムが国のためと信じて、御森は稚下野、座頭、今は見張りに行っている血水ガオル(ちみずがおる)の4人で専守防衛軍に入ったはずだった。
しかし、プログラムの実態はこんな、生徒を賭けの対象にするようなただの官僚のお遊びに過ぎず、御森は幻滅した。
だが、御森たちとは違い、稚下野はこのプログラムを楽しんでいる。
御森はいつも思っていた。
―六郎君は変わってしまった。何とかしないと…
同じことを、座頭や血水も思っていた。
御森は一応、ある対策を立てていたが、その事を後の2人に話す機会がなかった。
その時だった。
「おい、腰也。休憩だ」
稚下野が座頭にそう言った。
腰也はモニターを他の兵士に任せて、御森の方へやってくる。
―今だ。
「腰也君。ちょっと…話があるんだけど」
「ん、何?」
御森は座頭を隣の空き部屋に連れこんだ。
そして、小さい声で言った。
「内緒の話なんだけど…僕、クーデターを起こすつもりなんだ」
「え!?」
「声が大きいよ。とにかく、他の兵士や、血水さんにも僕が話を持ちかけるつもりなんだけど…腰也君はどうする?」
「…僕も、賛成だよ。六郎君を殺さなきゃならないのは、辛いけど」
「じゃあ、計画の内容を話すよ…」
御森は、座頭に計画を話した。
しばらくして、座頭が言った。
「し、しかしそれは…」
「でも、六郎君に一番隙があるのはこの時だけなんだ。いいよね?」
座頭はしばらく悩んでから、言った。
「…ああ」
「よし、じゃあ僕は血水さんにも話してくる」
そう言って、御森は空き部屋を出て行った。
座頭は、ぼそっと呟いた。
「六郎君、ごめん。でも…こうしなきゃ、ならないと思ったんだ」
<残り24人>