BATTLE
ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜
第49話
放送の2分前、午後5時58分。
H−5の茂みに、一人の男子生徒がやって来た。
彼はその茂みに座り込み、放送を待つことにした。
彼の目的地は、ここから2分では到底行けない場所だった。
そこで放送で禁止エリアを聞いてから動くつもりだった。
―頼む、G−8…G−8だけは禁止エリアにするなよ!
彼がそう祈りだした所に稚下野の声が聞こえてきた。
「おいお前ら、午後6時になったから、放送を始めるぞ!」
彼はすぐに地図とペンをバッグから出した。
「まず、これまでに死んだ奴の名前だ。女子12番、土佐洋美。女子11番、武田尋子。男子17番、名和年秀。女子5番、河野亮子。男子18番、橋本繁洋。男子11番、高山洋一。以上6名だ。ペースもう少し上げねえと早く終わらねえぞ!」
彼は名簿の死んだ生徒の名前の所に、線を引いた。
彼の心には、またさらに優勝に近づいたという喜びがあった。
「次に、禁止エリアだ! 7時から、A−4。9時からI−3。そして11時から、E−10。以上だ! 早く決着つけろよ! それじゃあな」
放送が終わった瞬間、彼は「よっしゃ!」と言って、小さくガッツポーズをした。
―これで俺の優勝の可能性はかなり高くなったな。
彼はそう思って、にやっと笑った。
彼の手には、謎の鍵があった。
彼の支給武器は、その謎の鍵と、一枚の紙切れだった。
その紙切れには、どうも稚下野が書いたらしい汚い字で、こう書いてあった。
「この鍵は、この島の何処かにある、当たり武器の鍵だ。頑張って探してみろ」と。
そこで彼はゲームが始まってからずっと武器が隠してありそうな場所を絞り、探していた。
しかし武器は何処でも見つからなかった。
そして最後の候補地が、G−8にある農具小屋だった。
そのG−8が禁止エリアに入らなかった以上、彼のやる事は決まっていた。
G−8で当たり武器を手に入れ、その武器を使って優勝する事。
それだけを考えていた。
そして彼―、円谷和彦(男子15番)は、G−8に向かって歩き出した。
早く武器を手に入れたい一心で、和彦は走った。
やがて和彦は、G−8に着いた。
和彦が急いで農具小屋の中に入ると、2台の車があった。
1つは軽トラだった。
和彦は鍵穴に鍵を差し込んでみたが、鍵は回らなかった。
どうも違っていたようだ。
そして和彦の目に留まったのは、軽トラの隣にある四輪駆動車、パジェロだった。
「ま、まさか」
和彦はそう呟いて鍵穴に鍵を差込み、回そうとした。
鍵は回り、ガチャっという音がした。
ドアを開けようとすると、ちゃんと開いた。
「やった!」
早速和彦はパジェロに乗り込み、エンジンをかけた。
そこに、何者かの姿が見えた。
曽原秀也(男子10番)と橘蓮(男子12番)が農具小屋に入ろうとしているらしい。
「ちょうどいい、轢き殺してやる!」
和彦はアクセルを踏んだ。
<残り24人>