BATTLE ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜


第51話

―怖い、怖い、怖い!
 瀬田祐美(女子10番)はただそれだけ考えながら走っていた。
 祐美は今、B‐4にいた。
 最初はA−4にいたのだが、禁止エリアに入ったので、出てきたのだった。
 祐美は出発するまで、ずっと考えていた。
 きっと外では恋人の名和年秀(男子17番)が待っていてくれるだろうから安心だけど…私は仮にも不良グループだから、信用して貰えないかも…
 そして外に出て見たものは、血に染まったナイフを持った於保正己(男子4番)だった。
 その瞬間、祐美は思った。
―もう人を殺した人がいるんだ! このままじゃ私もやられる! みんな信用しちゃいけない、みんな、みんな…
 その結果、合流予定だった年秀からも逃げ出してしまった。
―みんな、信用できない、みんあ、怖い!
 その直後、祐美は人の気配を感じた。
 祐美は手に持った支給武器の探知機の液晶画面を見た。
 男子を示す青い点がこっちへとやってくる。
―嫌! 来ないで!
 そしてその人物が姿を現した。
「瀬田…か?」
 その人物は年秀の親友、津田公平(男子14番)だった。
「瀬田…無事だったか、良かった」
「こっ、来ないでっ!」
「安心しろ。俺は年秀の代わりにお前を守りにきた」
「…え?」
 公平は、続けた。
「年秀はずっとお前を探してた。でも…、誰かに撃たれて…」
「そ、そんな…」
―年秀が、私を? じゃあ、私は…
 祐美の目に、涙が溢れた。
「おい、瀬田?」
「私…間違ってた。年秀を疑って…私、酷い事を…」
「そう思うんなら死ねよ」
 そんな声と同時にマシンガンの音がし、公平が倒れた。
 そして茂みから、信行寺道世(女子7番)が現れた。
「道世! まさか、あなたが…」
「そうよ、今津田を撃ったのも、年秀を殺したのもね」
「何で…何でよ!」
「あたしね…年秀の事がずっと好きだった。なのにあたしはふられて、あんたは年秀と付き合ってる! 憎かった! 年秀もあんたも! 許せない!」
そう叫んで道世がイングラムの銃口を祐美に向けようとしたその時、公平が立った。
「てめえ…ふざけんじゃねえ。俺が相手になってやる」


<残り24人>


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