BATTLE ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜


第53話

「…ちっ、橘の奴! ヘッドライト一個壊しやがって!」
 円谷和彦(男子15番)はそう言って地面を蹴った。
 和彦は曽原秀也(男子10番)と橘蓮(男子12番)から逃げたあと、I−6までやって来ていた。
「まあ、懐中電灯でも代わりに点けとくか。この際何だっていい」
 そう言って和彦は懐中電灯のスイッチを入れて、割れたヘッドライトの所に縛りつけた。
「これでよし。じゃあ獲物を探しに行くか」
 そして和彦は、集落へと向かった。
 やがて、和彦は集落に着いた。
「さすがに誰もいないか…」
 すると、民家から、誰かが出てくるのが見えた。
 セーラー服を着ていることから考えて、女子なのは間違いないだろう。
「ラッキー…獲物見っけ」
 そして和彦は、アクセルを吹かし、その女子に向かって突進した。
「―!」
 だが、その女子はすぐに横に逃げた。
「ちっ、待て!」
 逃げる女子を、和彦はとにかく追い掛け回した。
 しかし、毎回寸前でかわされてしまっていた。
―何だよあいつ…ずいぶん身が軽いが…誰だ?
 だが、そんな追いかけっこも、もうすぐ終わりそうだった。
 女子のほうが、袋小路に逃げ込んだのだ。
 和彦がすぐに袋小路の奥にいた女子に向かってパジェロを走らせた。
 だがその女子は、パジェロをギリギリまで引きつけて、横に避けたのだ。
「―! ヤバイ! ぶつかるー!」
 和彦の乗ったパジェロは塀に激突した。
 パジェロは大破したが、和彦は無事だった。
「よ、良かった…あれ?」
 和彦は気づいた。
 自分の足がパジェロの残骸に挟まれ、身動きが取れないことに。
「円谷君…ゴメンなさい。こうするしかなかったの…」
 先ほどまで和彦が追いかけていた女子、神野優(女子8番)は言った。
「テメエ…俺をはめやがったな!」
「うん…ホントは殺したくないけど…紀世彦君のために…やるしかないの」
 そう言って優はマッチ(これは優が民家で調達したものだ)を取り出し火を点けた。
 和彦はそこで気がついた。
 パジェロの残骸から、ガソリンが漏れていることに。
「た、頼む! 殺さないでくれ、お願いだ!」
「ゴメンね…さよなら、円谷君」
 優がマッチをガソリンの中に落とした。
 あっという間に火がつき、火は和彦を飲みこんだ。
「ぎゃああああああああああああああ〜!」
 和彦はしばらくもがいていたが、すぐに動かなくなった。
 それを見届けると、優はその場を去った。

 男子15番 円谷和彦 退場


<残り20人>


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