BATTLE
ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜
第55話
B−9の断崖。
ここには恐らく誰も気づいていないであろう隠れ場所があった。
その隠れ場所とは…洞窟である。
断崖の下にあったこの洞窟は、どういう訳かか、地図に載っていなかった。
そこに、野村葉月(女子16番)と野村好美(女子17番)はいた。
2人はスタートしてすぐにここにやって来た。
そして下に降りる道が偶然にも出来ているのに気がつき、降りた。
そこで洞窟と、その目の前にある砂浜を発見したのである。
それから2人はずっとここに隠れていた。
―地図に載ってない場所ならそう簡単には気づかれないはず!
それが2人の考えだった。
だが、毎回6時間ごとの放送が、葉月と好美を不安にさせた。
少し前の放送で残りが24人だと分かった。
そのうえ、隠れてからも銃声があちこちからしていた。
「ねえ…お姉ちゃん」
葉月は隣に座っている好美に話し掛けた。
そう、葉月と好美は双子だった。
いつも2人は一緒で、好美はいつも葉月の味方だった。だから葉月は好美を心の底から信頼していた。
「これから…どうしよう」
好美は答えない。
「2人一緒には生き残れないんだよね? じゃあどうすればいいのかな?」
「…うるさいわね」
「え?」
「いちいちうるさいって言ってるのよ!」
好美が突然怒鳴った。
「え? お姉ちゃん、何で怒るの?」
葉月は訳が分からなかった。
「あんた何かあったらいっつも私を頼る! 私じゃどうにもならないことだってあるのに! もう嫌! あんたなんか…あんたなんか死んでしまえばいいのよ!」
そう言って好美が支給武器のスミスアンドウェッソンM19(葉月の支給武器はアルトリコーダーだった)を葉月に向けた。
「やめてよ、お姉ちゃん!」
葉月はすぐに好美からM19を奪い取った。
「返せっ!」
好美が鬼のような形相でM19を奪おうとしてきた。
「ひっ!」
葉月は思わずM19の引き金を引いていた。
見ると、腹を押さえて、好美がうずくまっていた。
好美の腹からは、血が滴っていた。
「あ…」
葉月はへたり込んでしまった。当然だ、故意ではないとはいえ、人を、しかも実の双子の姉を撃ってしまったのだから。
「おいどうした、何があったんだ」
近くで声がした。
葉月が外を見ると、時田賢介(男子16番)が立っていた。
「何でここが分かったの?」
「銃声がしたから…それと、ここに降りる道もあったしな」
「どうしよう…私、お姉ちゃんを…」
「ん?」
賢介が洞窟の中に入ると、腹を押さえてうずくまっている好美の姿があった。
賢介は言った。
「葉月さん…、好美さんを俺が担ぐ。だからここを出るぞ」
「え?」
「お前は好美さんに死んで欲しくないんだろ? なら遠いが、診療所が南のほうにある。そこで何とかするしかないだろ? ほら行くぞ!」
「う、うん!」
すぐに葉月は自分の荷物と好美の荷物を持ち、好美を担いだ賢介と一緒にその場を立ち去った。
<残り20人>