BATTLE
ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜
第56話
時田賢介(男子16番)と野村葉月(女子16番)が野村好美(女子17番)を連れてB−9を立ち去ってすぐ後だった。
そこに、高円寺紀世彦(男子7番)は現れた。
G−9で仁村公子(女子15番)を殺してから、紀世彦は誰とも会っていなかった。
―こっちで銃声がしたが、誰か死んだのか?
紀世彦はすぐに断崖の下の洞窟に気がついた。
そしてそこから血痕が西のB−8に向かって続いている事に。
「…行ってみるか」
紀世彦は血痕を追った。
その頃、賢介と葉月はB−8を走っていた。
―早く好美さんを診療所に連れて行かないと…!
だが、賢介は後ろのほうから誰かやってくるのを感じた。
振り返ると、高円寺紀世彦が日本刀を持ってこっちへ走ってきていた。
―くそっ、好美さんの体から出た血痕で気づかれたのか!
2人は必死に走った。
だが、好美を担いでいる賢介ともともと体力があまりない葉月に、陸上部の紀世彦は楽々追いつこうとしていた。
「くそっ!」
賢介は持てる力を目いっぱい出して走ろうとした。
しかし、それが焦りを生み、賢介はつまづき転び、好美も地面に落とされた。
「時田君!」
葉月が叫んだ。
「よ…好美さんを助けなきゃ…」
だが、既に追いついていた紀世彦は、動けない好美の胸に日本刀を突き立てた。
好美の体がびくっと痙攣し、動かなくなった。
「あ…、何で…」
「お姉ちゃん!」
賢介と葉月はそう言うと、走っていった。
賢介はずっと呟いていた。
「何でみんな…何で間違ってるのに気づかないんだよ…っ」
賢介の目に、涙が浮かんでいた。
女子17番 野村好美 退場
中盤戦終了―
<残り19人>