BATTLE ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜


終盤戦
Now19students remaining.

第57話

 唐突に島中に「我は海の子」が流れ始めた。
 おそらく放送が始まるのだろう―と、玉田龍ノ介(男子13番)は思った。
 そして龍ノ介が思ったとおり、稚下野の耳障りな声がした。
「よーし、それじゃ4回目の放送を始めるぞ。まずはこれまでに死んだ奴の発表をするぞ! 女子7番、信行寺道世、男子14番、津田公平、女子10番、瀬田祐美、男子15番、円谷和彦、女子17番、野村好美、以上5名だ! もう少しペースを早くしてくれよ、頼むぞ! 次に、禁止エリアだ! 1時から、B−1、3時から、F−6、5時から、D−5。段々エリアが狭くなってるから、早く決着つけろよ。じゃあまたな!」
 放送が終了し、龍ノ介は支給された地図についていた名簿の、死んだ生徒のところにペンで線を引き、地図に禁止エリアを書き込んだ。
―この寺の周りにも禁止エリアが増えてきたな…
 今龍ノ介がいる寺もあるエリア、G−5の周りに禁止エリアが増えてきた。
 だが、龍ノ介は、このエリアを出る気になれなかった。
 自分が何故、時田賢介(男子16番)を助けたのか。
 その理由を見つけなければ、ここから出れないような気がしていた。
―何故だ…?
 そこで、龍ノ介の脳裏に、ある記憶が蘇った。
 親友だった淵田正樹に裏切られ、人を信用しなくなって殺して回り、優勝した時の事を。
 優勝が決まった時、ほんの少し、後悔の念があったことを。
―そうか、だから…
 龍ノ介は分かったような気がした。
―きっと俺は、ずっと心の何処かで、後悔してたんだ。
―人を信じずに、殺した事を。
―だからあの時時田を逃がしたんだ。
 龍ノ介は立ち上がり、寺を出た。
―今からでも遅くはないはずだ。殺し合いを止めよう。時田と同じ事をしよう。
―俺は死んでもいいから―


<残り19人>


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