BATTLE ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜


第58話

「やっぱり…お姉ちゃん…死んじゃったんだ…」
「…葉月さん…」
 時田賢介(男子16番)は困っていた。
 高円寺紀世彦(男子7番)から逃げて、B−5まで来たのだが、先ほどの放送で野村葉月(女子16番)が双子の姉、野村好美(女子17番)の死を確認してから、もうずっとこの調子だ。
「私が…お姉ちゃん…撃っちゃったからだ…」
 葉月が今度は泣き出した。
「私が…私が…」
「泣くなって」
―頼むから泣き止んでくれよ…。
「葉月さん…もう済んだ事だ。耐えるんだ」
 だが、葉月は泣き止もうとはしない。
「私も…私も死ぬ! お姉ちゃんの所に私もっ…!」
 そんな葉月を見て、賢介の堪忍袋の緒が切れた。
「いい加減にしろ!」
 思わず賢介は怒鳴ってしまった。
「簡単に死ぬとか言うな! 俺だって親友が…孝太が死んだんだ! でも、あいつは、孝太は、みんなを説得して脱出する事を夢見てた。俺はその意志を継ごうと思ってる。葉月さんも…、好美さんの分も生きて、みんなを説得して、脱出する事が、好美さんへの一番の償いになるんじゃないのか?」
 言いたい事をすべて言ってから、賢介は思った。
―しまった、言い過ぎた。
 今の葉月は精神的にも不安定だ。もっと優しい言葉をかけてやるべきだった。
 だが、予想外にも、葉月は泣き止んでいた。
「ごめん、時田君。確かに…時田君の言うとおりだよね!」
「分かってくれたか… よし、じゃあ今からみんなを説得しに行こう!」
「うん!」
 2人は動き出した。


<残り19人>


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