BATTLE
ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜
第64話
「くそっ、くそっ!」
曽原秀也(男子10番)は痛む左脇腹を押さえながら、ひたすら東へと走っていた。
―今、何処まできたんだ? 玉田は藤川たちが待っている、って言ってたけど…(ちなみに、秀也はC−5まで来ていた)。
まだ、軽トラは見えない。
「…ん?」
そして遂に、秀也は藤川圭吾(男子20番)たちが乗った軽トラが停まって秀也を待っているのが見えた。
「お、おーい! 小畑!」
秀也は荷台にいた小畑智(男子3番)に向かって叫んだ。
その声に、智が反応し、秀也のほうを向いたその時だった。
ダダダダダ
「はっ!」
その銃声に秀也が振り向くと、マシンガンを持った、絵馬忍(女子3番)がまた、秀也を追ってきていた。
―な? 確か絵馬の奴は玉田と戦っていたはず。それがここにいるってことは…。
「くそ…玉田…」
秀也は心の中で、自分を助けてくれた玉田龍ノ介(男子13番)に、黙祷を捧げた。
「そ、曽原!」
智が秀也に向かって叫んでいた。
「大丈夫だ、すぐ行く!」
秀也は忍には構わず、再び軽トラに向かって走り出した。
だがその直後、秀也は右足に激痛を感じ、うつ伏せに倒れた。
見ると、忍が手にルガーを持って立っており、ルガーの銃口からは、煙が立ち昇っていた。
―ちくしょう! 絵馬の奴、拳銃も持ってやがったのか?
「曽原、大丈夫か?」
助手席から圭吾が叫んでいる。
「俺はいい、早く行け! こんな所で作戦を台無しにするわけにはいかねえだろ!?」
「…!」
そして、圭吾達の乗った軽トラは再び走り出した。
―よし、それでいいんだよ。―藤川。
秀也はそれを見届けると、すぐに忍のほうに向き直り、近くにあった石ころを忍に向かって投げつけた。
「うっ!」
石ころは忍の頭に当たり、忍はよろめいた。
だが、それが秀也に出来る、最後の抵抗だった。
その直後には、忍が放ったシュマイザーの弾丸が、秀也の全身を貫いていたので。
秀也は、思った。
―藤川…、小畑…、橘…。俺、もうダメみたいだ。後は…頼んだ。
―玉田…。せっかく助けてもらったのに…悪い。
―友也…。俺は、お前との約束を守れなかった。でも…、きっと藤川達がやってくれる、心配すんな。
―公平…。俺も死んじまうみたいだ。向こうで2人で話でもしようぜ?…は、ははは…。
こうして、曽原秀也は、死んだ。
秀也の死体を見下ろしていた忍は、再び血を吐いた。
「もう、あまり時間が…ない…」
忍は、近くの茂みに入っていった。
その頃、圭吾達は…。
「ねえ、曽原はどうするの?」
智が圭吾に尋ねた。
「…全てが終わった後で、会いに行こう。作戦成功の報告にな」
「…うん」
その時だった。
ドガドガドガ
「ううっ!」
智が右脇腹を押さえて、倒れた。
「さ、智! どうした!」
運転席の橘蓮(男子12番)が言った。
「あ、あれ…」
智は、ある方向を指差した。
圭吾と蓮も、そっちを見た。
智が指差した、その先には、グロッグを構え、軽トラを追いかけてくる赤髪の少年、佐藤康利(男子8番)がいた。
男子10番 曽原秀也 退場
<残り17人>