BATTLE
ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜
第65話
「お、おい、智! 大丈夫か!?」
橘蓮(男子12番)が、必死に荷台でうずくまっている小畑智(男子3番)に呼びかけていた。
「だ、大丈夫だよ…」
智はそう言っているが、苦悶の表情をしている。
―マズイ。
藤川圭吾(男子20番)は、思った。
―このままでは、智が危険だ。はやく作戦を実行しないと!
ドガドガドガ
また、銃声が連続して響き、軽トラの荷台を掠めた。
いまだに佐藤康利(男子8番)は、追いかけてくる。
―くそ、なんでまた委員長がこんなゲームなんかに…。
「ねえ…」
智が小さな声で、切り出した。
「どうした、智?」
智は、圭吾が考えていた事と全く同じ事を口にした。
「何で、委員長はゲームに…乗っちゃったんだろう? そんな奴じゃなかったのに…」
すると、蓮が言った。
「仲の良かった国見とか、須藤とか…、あと、幼馴染の湯原とか。あいつらが死んだからじゃないのか?」
そこで圭吾は、康利と仲の良かった国見俊和(男子6番)、須藤広樹(男子9番)、幼馴染だった湯原真弓(女子20番)の顔を思い出した。
―そうか。確かに、それなら有り得るな。委員長、結構仲間想いだったしな。復讐とか考えたり、自棄になったりしたかもな。
そこまで圭吾が考えていると、また康利のグロッグの銃声が連続して響いた。
「ぐうっ!」
蓮が、右脇腹を押さえた。
康利の放った弾は、軽トラのドアを貫通し、蓮の身体を貫いていたのだ。
「れ、蓮!」
圭吾が蓮に話し掛けると、蓮は言った。
「…圭吾、お前降りろ。俺と智で…本部に突っ込む。いいな? 智」
「…うん」
「お、おい! 何勝手に決めてんだ! 俺は…1人で逃げたくなんかない!」
「…いいんだ。俺たちは…、お前や…ここにはいない紀世彦たちだけでもいいから、脱出してほしいんだ」
そして次の瞬間、圭吾は蓮がいつの間にか開けていた助手席のドアから放り出された。
「あばよ、圭吾…」
「じゃあね、圭吾」
蓮と智は、呆然としていた圭吾に笑いかけ、そして進んでいった。
そして蓮と智の乗った軽トラは本部にぶつかり、全てを破壊…するはずだった。
だが、突然本部を目の前にして軽トラは爆発した。
間違いなく、蓮と智は死んでしまっただろう。
圭吾には、何故軽トラが爆発したか分かった。
圭吾の目には、近くの丘の上で、何かを構えた人物がいるのが見えた。
そして同時に、それが誰なのかも分かった。
「あ、あいつ…」
その頃、D−7の丘の上に、1人の女子生徒がいた。
圭吾が見た人物は、その女子生徒だった。
その女子生徒―神野優(女子8番)は、SPASを構えたまま呟いた。
「…誰だか知らないけど…ごめんなさい。私は…紀世彦君を優勝させなきゃいけないの…」
そして優は、丘を駆け下りていった。
男子3番 小畑智
男子12番 橘蓮 退場
<残り15人>