BATTLE
ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜
第70話
稚下野六郎や座頭腰也、血水ガオルらの死体も片付けられ、掃除も終わったモニタールーム。
「御森担当官代理。男子1番、男子5番、女子9番が死亡しました」
兵士の一人がモニターを見て、言った。
御森泰介(埼玉県立北屋中学校3年A組プログラム担当官代理)はそれを聞いて答えた。
「知っているよ。盗聴記録も聴いたから…」
それを見て、傍らにいた山煮が話し掛けた。
「おい、御森…まだ納得行かないのか?」
「当たり前だよ、あんなことをしてそれでもプログラムの中止は無理だなんて…座頭君や血水さんは何のために死んだんだよ!」
「…お前の気持ちは分かるつもりだ、御森。俺も辛いよ。だからこそ…このプログラムが終わったら、軍を辞めよう。そして、今俺たちが本当に正しいと思う事をしよう。な?」
「…うん」
そう呟いて御森はモニターの方を見た。
今生き残っている生徒たちがどうしているかを確認するためだ。
佐藤康利(男子8番)はF?5を歩いているようだった。
近くには誰もいない。
普通に考えたら、この生徒が優勝候補になるんだろうな、と御森は考えた。
時田賢介(男子16番)と野村葉月(女子16番)は、ようやくE?2から動き始めたようだ。
2人の会話は、今生き残っている生徒はどうしているのかについてのようだった。
そしてさっきまでその2人と一緒だった脱出作戦を実行したグループの生き残り、藤川圭吾(男子20番)は、I?9の民家に篭っているようだった。
先ほどの言動から考えて、少々錯乱気味のようだったが、それはますます酷くなっているようだった。
さっきから、「もう嫌だ」と呟く以外に何もしようとしていない。
絵馬忍(女子3番)はD?10に佇んでいるようだ。
さっきから独り言すら聞こえない。どうも、今後について必死に考えているようだった。
兎丸葵(女子13番)は数人でグループを組んだまま、E?9から動こうとしていない。
彼女たちがもし友人の忍や神野優(女子8番)と出会ったら、一体どんな反応を見せるのか、御森はちょっと心配になった。
平野光子(女子19番)は、すぐ隣のエリアであるE?8にいるようだ。
彼女は出発してから未だに誰とも接触していなかったはずだ。そのせいか、さっきから「誰でも言いから会いたいよ」と呟いている。
でも彼女は資料によると友人と呼べる人間は1人もいないようなので、他の生徒が彼女を信用しないかもしれないと思うと、御森は辛くなった。
そして…。
そこに、一人の兵士が話し掛けてきた。
「担当官代理。D?7に潜伏中の男子7番に女子8番が少しずつ接近しています」
「何!」
―そんな…。
御森はそれを聞いて、高円寺紀世彦(男子7番)と神野優がかわいそうになってきた。
今2人が出会ったら、一体どうなってしまうのか。
それが不安だった。
会場には、雨が降り出していた。
<残り12人>