BATTLE ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜


第75話

「どうしましょう…」
 瓜田みどり(女子2番)は一人、雑貨屋の外で見張りをしながら悩んでいた。
 それは、ついさっき平野光子(女子19番)がやって来て言ったことについてである。
―「絵馬さんはやる気になっているわ」
 みどりは悩んだ。
―本当にそうなのでしょうか? でも平野さんは確かにクラスで友達らしい人はいなかったけど、悪い人じゃないし…。
―どうしよう…。
 みどりは悩んだ。そして遂に、結論を出した。
「よし…」

 その頃雑貨屋の中では、兎丸葵(女子13番)が内心で喜んでいた。
―忍も来たなんて…。
 プログラムの説明中、葵は仲の良い者全員で集まる事を考えて、「Cー9で合流しよう」と言うメモを書いて陸上部の女子に回すように湯原真弓(女子20番)に渡した。
 そしてCー9へ向かった。
 だが現れたのは阿佐田仁美(女子1番)と途中で仁美と出会ったらしい瓜田みどり、そして小山田智絵(女子4番)だけで何故か忍と神野優(女子8番)、真弓は現れなかった(真弓は恐怖からメモを読まずに葵に返してしまい、忍と優はやる気になったために現れなかった)。
 そして最初の放送で真弓の名前が呼ばれ、葵たちは悲しんだ。
 しかし、いつまでも落ち込んでいてはいけないと思って葵は全員の支給武器を調べたが、仁美のスミスアンドウエッソンM659以外は、みどりがスケッチブック、智絵がスーパーカー消しゴム、そして葵がヨーヨーと、貧弱なものばかりだった。
 だが智絵が、忍を偶然見つけて連れてきた時、葵は少しだけ希望が湧いた。
 忍が来ただけで脱出の可能性が出たりするわけでもないはずなのだが、それでも葵は何とかなりそうな気がし始めていた。
 そんな時、突然見張りに出ていたみどりが店内に入ってきた。
「瓜田さん…どうしたの?」
「あの…皆さんに聞いてほしい事があるんですが…」
「ん、何?」
 休んでいた忍が出てきて言った。
 その瞬間、みどりの顔が少しこわばったように見えたが、葵は気にしなかった。
 そしてみどりは続けた。
「あの…さっき平野さんが来て、言った事があるんです。…絵馬さんのことなんですけど…絵馬さんはやる気だって」
 それを聞いてすぐに仁美と智絵が言った。
「ちょっと待って、平野さんはクラスでもあまり人と話さないよく分からない子なのよ? そんな子の言う事を信用できると思う?」
「そうよ、それに忍がやる気になるわけないじゃない!」
 肝心の忍はずっと黙ったままだった。
 みどりはさらに言った。
「そんな…、平野さんは悪い人じゃありません。私…分かるんです」
 みどりのその態度に、仁美と智絵も折れた。
「…分かったわ。でも、証拠はあるの?」
「…はい、平野さんは絵馬さんがスポーツバッグに他に武器を隠しているのを見たそうです」
「じゃあ、確認してみるね。…いい? まあ、大丈夫だとは思うけど」
「…いいよ」
 そして仁美と智絵は忍のスポーツバッグの中を探った。
 しばらくして、仁美が呟いた。
「うそ…どういうこと、忍?」
 仁美は中からシュマイザーを取り出した。
 これには葵も驚いた。
―そんな!
 さらに、智絵もルガーを取り出した。
「どういうことなの、忍? 私たちを騙してたの? 私たちを殺すつもりだったの? 何で、何でなのよ!」
 智絵がそう叫んだ直後だった。
 忍が素早く近くにいた智絵の手にあるルガーを奪い、智絵の眉間を撃ち抜いたのだった。
 智絵は仰向けに倒れた。
 当然、死んでいた。
 突然の事に葵は、何も言えないでいた。

 女子4番 小山田智絵 退場


<残り10人>


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