BATTLE ROYALE
〜 殺戮遊戯 〜


第77話

 雨の中、兎丸葵(女子13番)は瓜田みどり(女子2番)を連れて南へと走っていた。
―何で? 何でなの? 何でよ!
 葵には未だに絵馬忍(女子3番)がゲームに乗ったことが信じられなかった。
―どうして…どうしてこんな事になっちゃうの? 私…みんなを信じてた…、それは間違ってたの?
―嫌、もう嫌!
 少しづつではあったが、葵の精神状態は悪くなっていった。
 そして葵たちがFー9まで逃げてきた時だった。
「あっ!」
 みどりがいきなり、何かに躓いて転んだ。
「え…?」
 その「何か」とは、頭の吹き飛んだ平野光子(女子19番)の死体だった。
「き…きゃああああああ〜!」
 2人はすぐに飛び退いた。
 その時、葵はふと思った。
―ひょっとしたら…瓜田さん…私たちを騙したんじゃあ…?
―だって、彼女は平野さんから忍がゲームに乗ってるって聞いたはず。でも平野さんはもう死んでいる…。瓜田さんが見張りから戻ってきてからまだ10分も経ってない! …そうよ、こう考えれば全ての辻褄が合う! 瓜田さんが、自分が生き残るために、私たちの信頼関係を崩壊させようとしたのよ!
 そして最終的に、こういう考えに行き着いた。
 葵は忍を信じすぎた。
 そのために冷静な判断が出来なくなり、忍が武器を他にも持っていたことと忍が智絵を殺したことも、忘れてしまっていた。
 葵は近くにあった大きめの石を両手で掴んだ。
「平野さん…」
 光子の死体の前で泣いているみどりの方へ近づいた。
 そして、思いっきりみどりの頭を殴った。
「ううっ!」
 みどりは何が起こったのか分からず、倒れた。
「と、兎丸さん…何を…?」
「…極悪人」
「え?」
「あんたのせいで智絵が…みんなが…あんたの…あんたのせいでっ!」
 葵はみどりの頭を何度も何度も殴りつけた。
 やがて、みどりの頭部が変形し、ピクリとも動かなくなったとき、葵は呟いた。
「ハハ、やった…。極悪人を…殺してやった…忍や…仁美のとこに、戻らなきゃ…」
 そして葵が立ち上がると同時に、葵の頭部の鼻から上が消え、葵はうつ伏せに倒れた。
 ブローニングを持った佐藤康利(女子8番)は、葵の死体を見下ろして、呟いた。
「騒がしいから戻ってきてみたら…こんな事になってるとはな。…兎丸、お前は…馬鹿だよ。どうしようもない…馬鹿」

 女子2番 瓜田みどり
 女子13番 兎丸葵 退場


<残り7人>


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