BATTLE ROYALE
終わりに続く階段


第12話

  D-1にある小さな商店街はどこか寂しげだった。
 ほとんどの店は銀色のシャッターで閉ざされ、そのほとんどはだいぶ錆びていて、長時間放置されていることがよく見て取れ、それが朝日に映えてより哀愁があふれる光景になっていた。
 
椎名未来(女子2番)はそこの2番街入り口にいた。
「こりゃ、ひどいな」
 商店街のあまりの静けさに思わず噴出した。
 護身用の武器の代わりになるものと食料があるところを探すため地図をたよりにここまで来たが無駄骨だったようだ。
 ちなみに先ほどの放送のとき武器の確認をしたが、制汗スプレーという見事なまでのはずれ武器だった。
 まぁこれなら人を殺さずにすむと思ったが、ちょっと命がけのプログラムにおいてこれは洒落にならないだろう。
「勝ち組勝ち組勝ち組」
 かすかに西側から声が聞こえた。
 やばい。
 反射的に建物と建物の隙間に逃げるように入り込んだ。
 そして顔をうつむかせた
楠哲平(男子1番)がふらついた足取りでこちらに寄ってきた。
 あいかわらず分厚いレンズ越しから見えるその目は血走っていて、どこかのB級ホラーに出てきそうな何かに似ていた。
「勝ち組、勝ち組、あぁぁぁぁぁ」
 何故一人で勝ち組と叫んでいるかわからないが、分校同様狂っているため、話し合いなんてできる状況じゃない。
 とりあえず、ここは逃げよう。
 こちらの存在に気づかないのが幸いだっただろう。
 忍び歩きの要領で、隙間の奥へと進もうとした。
 しかし…
 や、やばい、こんなときに…!
 ハ、ハクション。
 気がつけば楠の目は明らかにこちらを向いていた。

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