BATTLE
ROYALE
〜 終わりに続く階段 〜
第22話
「俺の昔の話聞いてくれない?」
七姫蓮(男子二番)はそういうと深く沈んだ表情を見せた。
七姫君がその言葉を発してから実に3秒の沈黙が流れた。
しかしその重々しい空間からなのか、たがが3秒とは思えないくらいの長さだった。
「母さんは俺を生んだとき重い病気にかかってしまったんだ」
「子供のころは母さんの愛情もなくただただ絵本を独りで読んでいたんだ…親戚の人に引き取られたりもしたけど、つねに他人として見られたあそこは嫌いで仕方なかった」
重い口から吐かれる過去はどこか自分の境遇に似ていた。
お母さんの愛情もなく実の娘を冷たく見るお父さんが嫌いだった。
金だけはあったので欲しいものは買ってもらえたがそこに一欠けらの愛もなかった。
お母さんが死んだ原因が私だから仕方ないかもしれないが…
「小学校でもつらかった。母親が病気でよく親戚の人に預けられた。俺はよくそのことを同級生のやつにいわれてた」
「普通に扱われないことが嫌だったんだ。つらかったんだ。中学に入っても普通に扱ってくれるやつはいなかった」
「でも…」
「ゆうちんだけは違ったんだ」
「俺を普通の人間として見ててくれたんだ」
「ゆうちんはいつしか特別な存在になっていた。失ってはいけない存在になった」
先ほどまで穏やかだった北風が強くふいた。
ミドルロングが身軽に宙に舞うと身体が少し透けてきた。
終わりが近づいてきたのかな…
黄泉の国か地獄だか行き先は知れずだけど、まだ側にいたかった…
「私も七姫君がかけがえのない存在だった。とても優しくていつも私のそばにいてくれた…」
「ありがとう」
自分の身体は儚く光となって淡い青空のなか消えていった。
行く先は違うかもしれないけど来世でまためぐり合えること、それだけを祈り私は消えていった。
女子二番三咲優死亡
残り2人
中盤戦終了