BATTLE ROYALE
終焉の日にあなたは何を思う


 何で俺がこんな目に・・・

 運動は得意ではない。部活にも所属せず、常に漫画やアニメに没頭していたからだろう。

 しかしそんなこと考えている思考は存在しなかった
 後悔なんてもう遅かった。

 
亀田洋介(男子三番)はこれまでろくに使わなかった脚力を全力で酷使しアスファルトを駆けていた。
 見晴らしがよい整備されたキャンパスは逃げ場が少なく、追われる側を酷く焦らせた。

 何故なら後ろには、
「おいおい待ってくれよ。俺だって運動苦手なんだよーそんな全速力で走られたら追いつくのに苦労するんだって」
 べらべらと暢気な口調で学ランの転校生の
七姫聖(転校生)がゆっくり迫ってきてた。
 転校生は呼吸は乱れているが、自分より疲れている様子もない。

 一旦立ち止まりコルトアナコンダを握り締め七姫に目掛けて撃ったが所詮は素人の腕だ。
 命中どころか的外れなところへ飛んでしまう。
 寧ろ距離が詰められ焦りを余計に生んだ。

 追いつかれるのは時間の問題だと思った
 だが諦めたら、待っているのは地獄だろう。
 七姫の持っている武器の竹やりは血に飢えながらこちらを向き、気が狂いそうな脅威を帯びていた。

「糞っ。こんなところで死んでたまるかっ」

 だが身体にもそろそろ限界が来てる。
 細い脚は叫びをあげ、どんどんとその速度は落ちていった。
 すでにまともに呼吸するのも間々ならなかった。

「そうそう、亀田君だっけ。この時間帯は空気が薄くて有酸素運動に適してるんだよ。亀田君はいつも漫画とか読んでるから、いい運動になってるんじゃない」

 余計なお世話だと思わず反応してしまった。
 そしてとうとう軋むような脚はそろそろ根をあげてしまった。

「待てよ。俺を殺してもいいと思っているのか。おい、そんなことしてもいいと思っているのか」

 必死の説得に転校生は大きく笑った。
 先ほどの表情のない笑みから心の底から湧き出た笑みへと変わった。
 脚はガクガク震え、とうとう立つことすら困難になってきた。

「お前はこの状況でそんなこといってるのかい。あーむかついた。亀田君は人の気に障ることが好きみたいなんだね」

 首をポキポキと鳴らすと、竹やりを天に大きく掲げた。
 竹やりから細い影が生まれる。

「もういいや、覚悟いいよね」

 竹やりはまず太ももを深くえぐった。
 肉を裂き、骨をえぐりこれまで出したことない悲鳴をあげた。
 喉を裂くような叫び声は木霊と共に、尋常じゃない痛みが太ももに集中した。

「ああああああっ、痛いっ痛いっ」

 それを見下す形で七姫はこちらを覗き込むように見ていた。
 マイペースな表情がいらだちと憤怒の感情を刺激した。

「なるほどね。断末魔ってうるさいんだね」

「でも、もう飽きた」

 そういうと竹やりを腸に差し込んだ。
 もう声は出なかった。いや出せなかった。
 数秒間ピクピクしたあと、もう動かなくなった。

 数メートル先、第五キャンパスの4階。
 その惨劇を息をこらえながら、
吉川咲子(転校生)は見ていた
 ノートパソコンをかかえながら…。

 亀田洋介(男子三番)死亡

 残り33人+α3人



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